第37師団 (日本軍)

第37師団：日中戦争を駆け抜けた長距離行軍部隊

第37師団は、日中戦争の泥沼化に伴い、占領地の警備と治安維持を目的として1939年2月に編成された大日本帝国陸軍の師団です。三単位編制の治安師団の一つとして、その長い行軍距離から「日本一歩いた軍隊」とも称されます。

編成と初期の活動

1939年2月7日、軍令甲第6号により編成が下令され、久留米の留守第12師団が担当しました。編成後すぐに中国戦線に投入され、4月1日には華北の第1軍戦闘序列に編入。山西省晋南地区の警備にあたり、八路軍の活動に対抗しました。他の治安師団と同様に、1939年夏以降は様々な治安作戦に参加しています。

大陸打通作戦への参加

太平洋戦争開戦後も第1軍隷下で山西省に駐屯し、引き続き同地の警備と、黄河対岸に位置する中国軍との対峙を続けていました。しかし、1944年3月31日、大陸命第981号により第12軍戦闘序列に編入され、大陸打通作戦に参加することになります。

4月7日に運城を出発し、同蒲線の鉄道輸送で一旦北上、楡次から東へ廻り石門を経て、隴海線で順次開封に到着。師団長の長野祐一郎中将も空路で13日に開封入りし、20日の第12軍主力の覇王城攻撃に先立ち、17日深夜から中牟で新黄河を渡河、中国軍の背後を衝いて19日に鄭州を占領しました。その後、23日に密県、30日には許昌も占領し、西進して洛陽方面の中国軍を掃討、5月20日には挺進隊が盧氏まで進出しました。

その後反転し、6月12日に郾城南方に集結。南進して信陽に向かい、6月下旬に信陽へ到達、7月には武漢に至りました。7月17日には大陸命第1069号により第11軍戦闘序列に編入されています。

湘桂作戦からインドシナへ

第二段の湘桂作戦では、9月29日に湖南省宝慶を占領。11月24日には広西省南寧に到達し、12月10日には綏禄で仏印方面から北上してきた第21師団の一宮支隊と連絡を取り、大陸打通を達成しました。12月19日には大陸命第1205号により印度支那駐屯軍戦闘序列に編入され、翌1945年1月10日には先遣隊が中越国境の鎮南関を越えました。

明号作戦と終戦

3月9日には明号作戦に参加し、ランソンを経てサイゴンに至ります。5月22日にサイゴンを出発しプノンペンへ、27日にはタイ王国のバンコクに到着しました。タイ王国ナコーンナーヨック県バーンナー近郊に駐屯し、対イギリス戦に備えていましたが、同年7月に英領マレーへの移動を命じられ、移動中に終戦を迎えます。1946年に復員しました。

師団概要

歴代師団長

平田健吉 中将：1939年3月9日 - 1940年8月1日
安達二十三 中将：1940年8月1日 - 1941年10月15日
長野祐一郎 中将：1941年10月15日 - 1945年4月7日
佐藤賢了 中将：1945年4月7日 - 終戦

参謀長

井桁敬治 歩兵大佐：1939年3月25日 - 1941年3月1日
浜田弘 大佐：1941年3月1日 - 1942年3月11日
近藤新八 大佐：1942年3月11日 - 1943年10月29日
志甫健吉 中佐：1943年10月29日 - 1944年2月10日
恒吉繁治 大佐：1944年2月10日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第225連隊（熊本）：鎮目武治大佐
歩兵第226連隊（都城）：岡村文人大佐
歩兵第227連隊（鹿児島）：河合自一大佐
山砲兵第37連隊：河野武夫中佐
工兵第37連隊：遠藤秀人中佐
輜重兵第37連隊：米岡三郎大佐
第37師団通信隊：丸田憲治郎少佐
第37師団第1野戦病院：陸哲之軍医少佐
第37師団第2野戦病院：岩崎豊次軍医大尉
第37師団第4野戦病院：阿部隣太郎獣医少佐
第37師団防疫給水部：関三千夫軍医大尉
第37師団病馬廠：阿部隣太郎獣医少佐

参考資料

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

外部リンク

第３７師団（冬） アジ歴グロッサリー
歩兵第２２５連隊 ぶらり重兵衛の歴史探訪２

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