第4軍団マケドニカ

第4軍団マケドニカ：カエサル創設の軍団、その興亡の歴史

第4軍団マケドニカ（Legio IIII Macedonica）は、共和政ローマ末期から帝政初期にかけて活躍したローマ軍団の一つです。その起源は、ガイウス・ユリウス・カエサルが紀元前48年に編成した軍団に遡ります。紋章は、カエサルの創設した他の軍団と同様に、牡牛またはカプリコンが用いられました。

カエサルによる創設と初期の活動

カエサルがルビコン川を越えてローマに進軍した際、元老院の共和派はグナエウス・ポンペイウスらのもとギリシアへと退避しました。カエサルは彼らを追撃するため、イタリア国内で兵士を募り、第4軍団を創設しました。新設された第4軍団は、ファルサルスの戦いに参加し、カエサルの勝利に貢献しました。戦後、第4軍団はマケドニアに駐留し、この地名にちなんで「マケドニカ」と呼ばれるようになりました。

ユリウス＝クラウディウス朝時代

カエサルの暗殺後、第4軍団はその後継者であるオクタウィアヌスの下で、ピリッピの戦いやアクティウムの海戦に参加し、マルクス・アントニウスを破るという功績を挙げました。その後、アウグストゥス帝となったオクタウィアヌスは、第4軍団をヒスパニア・タラコネンシスに派遣し、カンタブリア人の反乱鎮圧に当たらせました。紀元前13年に反乱が鎮圧されると、第4軍団はそのままヒスパニアに駐留し、この地はローマ帝国の属州として組み込まれることになりました。

43年、第4軍団は高地ゲルマニアへと移動し、第14軍団ゲミナがブリタンニア遠征に出征した後任を務めることになりました。そして、第22軍団プリミゲニアとともに、モグンティアクム（現在のマインツ）に駐屯しました。

フラウィウス朝での解散と再編

ネロ帝の自殺後、ローマ帝国は混乱し、4人の皇帝が相次いで即位する事態となりました。第4軍団は、高地ゲルマニアの総督であったウィテリウスを支持し、対立する皇帝オトを破りました。しかし、ウィテリウスは最終的に殺害され、ウェスパシアヌスが皇帝となり、フラウィウス朝を創始しました。

70年、ゲルマニアでユリウス・キウィリスが反乱を起こすと、第4軍団は任地であるモグンティアクムを守り、クィントゥス・ペティリウス・ケリアリスの指揮下で反乱軍と戦いました。第4軍団の行動は、ローマを守る軍隊として当然の行動でしたが、過去の内乱でウィテリウスを支持したことが、ウェスパシアヌスの不信感を買ったと考えられます。その結果、第4軍団マケドニカは解散され、新たに第4軍団フラウィア・フェリクスとして再編されることになったのです。

このように、第4軍団マケドニカは、カエサルによって創設され、数々の戦いを経てローマ帝国の拡大に貢献した一方で、内乱での行動が原因で解散、再編されるという波乱の歴史をたどった軍団でした。

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