第9回ゴールデングローブ賞

第9回ゴールデングローブ賞は、1951年に公開された優れた映画作品とその関係者たちを対象とした権威ある映画賞です。この年の授賞式は、前年の映画芸術における功績を称える場として、1952年2月21日に開催され、華々しく受賞結果が発表されました。

主要部門の受賞とノミネート

この年のゴールデングローブ賞では、様々な部門で優れた作品や個人が選出されました。

作品賞

ドラマ部門の作品賞には、ジョージ・スティーヴンス監督による珠玉の人間ドラマ『陽のあたる場所』が見事選ばれ、最高の栄誉に輝きました。この部門には他にも、『Bright Victory』、『探偵物語』、『クォ・ヴァディス』、そしてテネシー・ウィリアムズ原作の衝撃作『欲望という名の電車』がノミネートされ、激しい競争となりました。

一方、ミュージカル・コメディ部門の作品賞は、色彩豊かなパリを舞台にしたヴィンセント・ミネリ監督の『巴里のアメリカ人』が受賞しました。

俳優賞

演技部門では、ドラマ部門の主演男優賞に、アーサー・ミラーの戯曲を映画化した『セールスマンの死』で主人公を演じたフレドリック・マーチが選ばれました。この部門には、『Bright Victory』のアーサー・ケネディ、『探偵物語』のカーク・ダグラスもノミネートされていました。

ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞は、『南仏夜話夫は偽者』の主演ダニー・ケイが受賞しました。競合ノミネートには、『花婿来たる』のビング・クロスビー、『巴里のアメリカ人』のジーン・ケリーといったスター俳優たちが名を連ねました。

ドラマ部門の主演女優賞は、『青いヴェール』での繊細な演技が高く評価されたジェーン・ワイマンが受賞しました。ノミネートされたのは、『陽のあたる場所』のシェリー・ウィンタース、『欲望という名の電車』で圧倒的な存在感を示したヴィヴィアン・リーといった、当時の映画界を代表する名女優たちでした。

ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞は、『Too Young to Kiss』に主演したジューン・アリソンが受賞しました。

助演男優賞は、歴史超大作『クォ・ヴァディス』に出演したピーター・ユスティノフが受賞しました。

助演女優賞は、『欲望という名の電車』での演技が絶賛されたキム・ハンターが受賞しました。ノミネートには、『The Mating Season』のセルマ・リッター、『探偵物語』のリー・グラントが挙がっていました。

監督賞

優れた演出手腕を称える監督賞は、『セールスマンの死』を監督したラズロ・ベネディクが受賞しました。この部門には、『巴里のアメリカ人』のヴィンセント・ミネリ、『陽のあたる場所』のジョージ・スティーヴンスといった名匠たちも候補となりました。

技術・脚本部門

脚本賞は、『Bright Victory』を手がけたロバート・バックナーが受賞しました。

作曲賞は、『旅愁』の音楽を担当したヴィクター・ヤングに贈られました。ノミネート作品には、『井戸』（ディミトリ・ティオムキン）、SF映画の古典『地球の静止する日』（バーナード・ハーマン）がありました。

撮影賞（白黒部門）は、『セールスマンの死』など数々の作品で活躍した撮影監督フランツ・プラナーが受賞しました。彼は『暁前の決断』でもノミネートされており、『陽のあたる場所』のウィリアム・C・メラーも候補でした。

撮影賞（カラー部門）は、壮大な歴史スペクタクル『クォ・ヴァディス』を担当したウィリアム・V・スコールが受賞しました。

特別賞など

国際賞は、ロバート・ワイズ監督の不朽のSF作品『地球の静止する日』が受賞し、その普遍的なテーマが高く評価されました。

特別貢献賞は、フランスの映画監督・脚本家であるアラン・レネに授与されました。

ヘンリエッタ賞（人気俳優賞）は、水泳選手としても知られる女優のエスター・ウィリアムズが受賞しました。

将来の活躍が期待される新人には、新人男優賞にケヴィン・マッカーシー、新人女優賞にピア・アンジェリがそれぞれ選ばれました。

まとめ

第9回ゴールデングローブ賞は、1951年の映画界における多様な才能と作品を幅広く称揚しました。ドラマ、ミュージカル、コメディといった異なるジャンルから傑出した作品が選ばれるとともに、俳優、監督、脚本家、技術者など、映画製作のあらゆる側面における貢献に光が当てられました。特に、『陽のあたる場所』や『巴里のアメリカ人』といったこの年の主要な受賞作は、アメリカ映画の黄金時代を象徴する作品として、今日でも高く評価されています。この授賞結果は、当時の映画芸術の深みと広がりを示す貴重な記録と言えるでしょう。

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