紀咋麻呂

紀咋麻呂の生涯と官歴

紀咋麻呂（き の くいまろ）は、平安時代の初めに活躍した貴族で、官位は正四位下・兵部大輔でした。本稿では、彼の経歴や政治的な役割について詳しく述べます。

経歴

紀咋麻呂は、延暦18年（799年）に従五位下に叙爵され、その後の数年間で多くの官職を歴任しました。特に、延暦23年（804年）には桓武天皇の和泉国への行幸に際して御後副長官を務め、その重要な位置に登りつめました。さらに、延暦25年（806年）には桓武天皇が崩御した際に御装束司としても活動し、天皇の葬儀において重要な役割を果たしました。

平城朝では中務少輔や散位頭を経験し、大同5年（810年）には従五位上に昇進しました。弘仁5年（814年）には三階昇叙により従四位下に達し、嵯峨朝の初期にかけて順調に官位を昇進させました。彼の官職には、肥後守、刑部大輔、左京大夫、兵部大輔など、さまざまな重要な役職が含まれています。

弘仁14年（823年）には淳和天皇の即位に伴い従四位上に、さらに天長6年（829年）には正四位下に叙せられました。最終的には出雲守としての任に就いていましたが、天長10年（833年）の正月19日に79歳で亡くなりました。彼は天寿をまっとうしました。

人物評

紀咋麻呂は、特に際立った才覚を持っていなかったという人もいますが、光仁天皇との外戚関係から四位に達することができました。彼の官歴を見ると、政治や社会において重要な役割を果たしながらも、特異な個性が感じられる貴族であったと言えるでしょう。

官歴一覧

彼の具体的な官歴は、以下の通りです：

• - 正六位上（時期不詳）
• - 延暦18年（799年）5月10日：従五位下
• - 延暦23年（804年）8月26日：御後副長官（桓武天皇和泉国行幸）
• - 延暦25年（806年）3月18日：御装束司（桓武天皇崩御）
• - 大同3年（808年）4月8日：中務少輔
• - 大同3年6月1日：散位頭
• - 大同5年（810年）正月7日：従五位上
• - 弘仁3年（812年）9月27日：肥後守
• - 弘仁4年（813年）2月21日：刑部大輔
• - 弘仁5年（814年）正月7日：従四位下（越階）。7月26日：左京大夫
• - 弘仁6年（815年）正月14日：兵部大輔
• - 弘仁14年（823年）4月27日：従四位上（淳和天皇即位）
• - 天長6年（829年）正月7日：正四位下
• - 時期不詳：出雲守
• - 天長10年（833年）正月19日：卒去（出雲守正四位下）

このように、紀咋麻呂は平安時代の貴族の中でひときわ目立つ存在ではなかったかもしれませんが、彼の官歴は当時の社会の一端を明らかにする重要な資料となっています。

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