索泮

索泮（さく はん）

索泮（生年不詳 - 385年）は、五胡十六国時代の前涼・前秦に仕えた人物で、字は徳林、敦煌郡の出身です。弟に索菱がいました。

生涯

索泮の一族は、代々涼州の地で勢力を持つ豪族でした。若い頃は侠客のような活動をしていたものの、成長するにつれて素行を改め、学問に励むようになります。その才能は「世を救うほどの器量がある」と称されました。

361年、前涼の張天錫が政治の実権を握ると、索泮は冠軍将軍・記室参軍に抜擢されます。363年に張天錫が即位すると、司兵に任じられ、禁中録事・執法御掾といった要職を歴任しました。彼の着任により、州府は秩序正しくなり、郡県もその行いを改めたと言われています。その後、羽林左監に移ると、その勤勉さと実務能力の高さから賞賛を受けました。

さらに、中塁将軍・西郡太守・武威郡太守・典戎校尉といった地方官を歴任し、赴任地では寛容な政治を行い、胡人・漢人の区別なく人々を благослови. その手腕は張天錫からも深く信頼されていました。

376年、張天錫が前秦に降伏すると、索泮もこれに従い、前秦に仕えることになります。前秦の君主苻堅は索泮と会見し、「涼州にはなんと多くの君子がいるのか！」と感嘆したと言います。索泮がすでに涼州で高い徳望を得ていたことから、涼州刺史梁熙の別駕として登用しました。その後、建威将軍・西郡太守に任じられています。

385年、西域遠征から帰還した呂光が、帰還を阻んだ涼州刺史梁熙を破り、姑臧を陥落させました。これにより、涼州の郡県は次々と呂光に降伏しましたが、索泮は酒泉郡太守宋皓と共に城を固守し、呂光に抵抗しました。しかし、呂光の攻撃により索泮らは捕らえられてしまいます。

呂光は索泮を責め、「私は詔を受けて西域を平定し、都の危機を救おうとしている。それなのに梁熙は理由もなく私の帰路を断った。これは朝廷の罪人だ。卿はどうしてこれに味方し、郡を固守して阻み、自ら罪人となったのか！」と非難しました。これに対し、索泮は怒りを露わにし、「将軍は西域平定の詔を受けたかもしれませんが、涼州を混乱させる詔は受けていないはずだ。梁公に何の罪があって将軍は殺したのか。私は力及ばず、主君の仇を討つことができなかった。しかし、武威郡太守彭済のように裏切るような真似はできない！主君が滅びれば臣下も死ぬのは当然だ！」と激しく反論しました。

呂光は激怒し、索泮を処刑しましたが、索泮は最期まで顔色一つ変えず、落ち着き払っていたと言われています。その忠義心は、後世まで語り継がれています。

索菱（さくりょう）

索泮の弟である索菱もまた、才能に恵まれた人物として知られていました。張天錫に仕え、執法中郎・冗従右監に任じられ、苻堅の時代には伏波将軍・典農都尉に任じられましたが、兄と共に呂光によって殺害されました。

参考文献

『晋書』巻115
『資治通鑑』巻104-106
* 『十六国春秋』巻42

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