経済正義実践市民連合

経済正義実践市民連合（経実連）について

経済正義実践市民連合（けいざいせいぎじっせんしみんれんごう、略称：経実連（キョンシルリョン））は、韓国における主要な市民運動団体の一つです。1989年7月8日に、学者、宗教家、法律家、文化・芸術関係者など、様々な分野で活動する市民が集まって設立されました。

設立の背景と目的

経実連は、「民主化宣言」後の社会において、深刻化する経済不正を正し、経済正義を実現することを目的として結成されました。設立当初から、既存の社会構造の変革を強く求め、ラディカルな手法で社会変革を目指す姿勢を明確にしていました。ただし、暴力的な手段による民衆革命は否定しています。

2000年4月の総選挙では、特定の候補者を落選させるための運動を展開し、一定の影響力を行使しました。

発起宣言文における主要な課題

経実連は、設立時に以下のような主要な課題を掲げました。

全ての人が貧困から脱却し、人間らしい生活を送る権利を持つ。
不労所得は解消されるべきである。
全ての国民が経済的な機会を平等に享受し、自由に人生を選択できるべきである。
政府は市場経済の欠陥を是正する義務を負う。
民主主義を歪める金権政治と政経癒着は徹底的に清算されるべきである。
土地は生産と生活のために使われるべきであり、財産増殖の手段として保有されるべきではない。

市民運動としての独自性

経実連は、発足当初、在野運動や労働運動の過激な闘争方針を批判し、「民衆運動」ではなく「市民運動」であることを強調しました。しかし、1993年に文民政権（金泳三）が発足すると、政府との協調姿勢を取り始め、幹部の一部が政府に登用されるなど、その立ち位置に変化が見られました。この協調路線に対し、在野運動や労働運動からは「保守的な市民運動」との批判が起こり、両者の対立が深まりました。

このような状況を受け、民衆運動と市民運動の協調を模索する知識人や専門家が、1994年に「参与民主社会市民連帯」（参与連帯）を設立しました。その後、文民政府が政治姿勢を転換し「文民独裁」と批判されるようになると、経実連は政府への支持・参加を留保し、再び在野運動や労働運動との共闘を模索するようになりました。

2003年には、その社会変革への貢献が認められ、ライト・ライブリフッド賞を受賞しました。

主な活動

経実連は、設立以来、様々な社会問題に取り組み、以下のような活動を展開してきました。

土地公概念の要求と住宅問題解決のための活動（1989年）
税制改革要求運動（1990年）
経済不正告発センターの開設と財閥監視活動、経済正義評価モデルの研究（1992年）
漢薬紛争の調停、金融実名制早期定着のためのキャンペーン（1993年）
ウルグアイラウンド再交渉など農業保護キャンペーン（1994年）
韓国銀行の独立要求キャンペーン、1996年総選挙に向けた政策キャンペーン（1995年）
OECD早期加入反対運動、安企部法・労働関係法改正運動（1996年）
情報公開法、行政手続法制定運動、韓宝倒産事態に関連する政経癒着根絶キャンペーン（1997年）
国会議員を対象とした損害賠償請求訴訟、予算監視運動（1998年）
租税正義実現運動
財閥構造解体運動
政治改革運動

組織

経実連の活動は、多くの役員によって支えられています。

脚注

[1] “임원현황（役員現況）”. 経実連. 2014年5月12日閲覧。

参考文献

国史編纂委員会　金容権編著『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社
金栄鎬『現代韓国の社会運動　民主化後・冷戦後の展開』社会評論社
在日韓国民主人権協議会編『韓国NGO100データブック』みずのさわ出版

関連項目

参与連帯：民衆運動と市民運動の連携を重視する知識人や専門家が1994年に設立した市民運動団体。
落選運動：議員として相応しくない候補者を落選させるための運動。2000年4月の総選挙前に始まり、経実連も参加した。
環境運動連合

外部リンク

* 경실연（経実連ホームページ）

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