羊衜 (呉)

羊衜（よう どう）について

羊衜（211年 - ?）は、中国の三国時代に活躍した呉の武将および政治家です。彼の正確な字は伝わっていませんが、南陽郡の出身で、別名として羊茝とも知られています。彼はその弁論の才能や人物を見抜く能力によって、当時の政治において重要な役割を果たしました。

生涯の節目

羊衜の生涯は、数々の歴史的出来事とともに展開されます。黄武4年（225年）、蜀漢の使者である費禕が呉に訪れた際、彼は呉側の論争に参加し、これによって名声を高めました。このような背景から、彼は広く知られる存在となり、その後の成長へと繋がることになります。

黄龍元年（229年）、彼は孫登が皇太子に即位したことに伴い、その賓客に選ばれました。翌年、20歳という若さで太子中庶子に昇進するなど、彼の才能は早くも評価されることとなります。

そして、ある有名なエピソードとして、魏の隠蕃が呉に帰順してきたとき、多くの人々が彼を称賛した中、羊衜のみが彼との接触を避けました。後に隠蕃が間諜であったことが判明し、羊衜の見識が正しかったことが明らかになりました。

優れた観察力

また、羊衜はその鋭い観察眼で知られています。彼は胡綜が報告した太子の属官たちについての評価に対し反論し、理論的かつ批判的な視点から各々の短所を指摘しました。これにより、彼は諸葛恪や顧譚などの有力者たちから冷遇される結果となりましたが、後の世では彼の見解を支持する者も多かったことが示されています。

戦争の指導者としての活躍

赤烏2年（239年）、公孫淵が魏の司馬懿から攻撃を受けた際には、孫権に援軍を求める使者が送られました。この時、呉の民はその使者を斬るべきだと考えた中、羊衜だけが援軍派遣の意見を提出しました。孫権は彼の提案を受け入れ、羊衜は鄭冑や孫怡とともに遼東に派遣されました。彼らは魏の将張持や高慮を破り、多くの捕虜を連れ帰る成功を収めました。

このような功績により、羊衜は始興太守に昇進します。彼はまた、赤烏5年（242年）には滕胤に手紙を送り南海太守の鍾離牧を高く評価するなど、義理堅い一面も見せました。

その後、孫権が息子と大臣との交交を制限した際には、羊衜がそれについての進言を行いましたが、彼の思慮深さと手腕は賞賛されました。最終的には桂陽太守に転出し、官職にありながら生涯を全うしたとされています。

羊衜の業績や彼の考え方は、今なお多くの人々に語り継がれ、三国時代の政治や戦略の一端を知る上で欠かせない人物の一人となっています。

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