美和神社 (長野市)

美和神社

美和神社は、長野県長野市三輪に位置する神社で、式内社であり、旧社格は県社です。善光寺七社の一つとして知られています。長野市街に近い住宅街にありながら、境内は静寂に包まれています。

概要

美和神社は、特徴的な三ツ鳥居（三輪鳥居）が目を引きます。境内には100近い石祠群（境内百末社）が立ち並び、独特の雰囲気を醸し出しています。特に、これらの石祠群に祀られた神々に祝膳を捧げる越年祭は、他に類を見ない特殊な神事として知られています。祭事は、本郷、相ノ木東、相ノ木西、横山、淀ヶ橋、三輪田町、荒屋の7町によって執り行われています。

祭神

主祭神

大物主命（おおものぬしのみこと）：大神神社の祭神と同じで、大国主命の和魂とされています。水内神（健御名方富命彦神別神社祭神）の父神と伝えられています。

相殿神

国業比売神（くになりひめのかみ）：大物主命の母神と伝えられています。ただし、大物主命と同一神とされる大国主命の母は刺国若比売です。
神部神（かみはとりのかみ）：または神服部神とも呼ばれます。

歴史

概史

美和神社の創建は不明ですが、祭神や社名は大和国の大神神社と同じで、三輪氏との関連が示唆されています。『善光寺縁起』には、大和三輪出身の三輪時丸が善光寺参詣後、当地に留まり大神神社の神体を奉納したという伝説が残っています。この伝説は、三輪氏系の人々がこの地に移住したことを示唆していると考えられています。

周辺には時丸の塚や時丸寺が存在し、長野市信更町田野口の松ノ山窯跡からは、堺市にある陶邑窯跡群と類似した土器が出土しています。このことは、三輪氏の配下の渡来人がこの地に移住し、陶器製作に関わっていた可能性を示唆しています。

文献上では、貞観3年（861年）に相殿神である国業比売神に神階が授けられたのが初出です。貞観8年（866年）には、兵疾の災いを防ぐため、「三和神・神部神」への奉幣読経が行われ、当時から重要な神として認識されていたことがうかがえます。

『延喜式神名帳』には「信濃国水内郡 美和神社」として記載され、式内社に列しています。旧称は「三輪神社」でしたが、安永3年（1774年）に吉田家から許可を得て現在の「美和神社」に改称しました。現在の社殿は、寛政5年（1793年）に造営されたものです。

近代社格制度では、1873年（明治6年）に村社に列し、1935年（昭和10年）に県社に昇格しました。1986年（昭和61年）には、献幣使参向神社に指定されています。

神階

貞観3年（861年）2月7日：国業比売神（相殿神）が正六位上から従五位下に昇叙（『日本三代実録』）。

境内

社殿：寛政5年（1793年）に再建。
祝詞殿
社務所
摂末社

祭事

元旦祭（1月1日）
節分追儺祭（2月3日）
春季大祭（4月27日）
風祭（9月1日）
秋季大祭（9月26日・27日）
新嘗祭（11月27日）
越年祭（12月16日）：特殊神事。境内の石祠に祀られた全国一宮の神々に祝膳が捧げられます。
大祓い（12月31日）

現地情報

所在地：長野県長野市大字三輪字相ノ木東514
交通アクセス：長野電鉄長野線 本郷駅下車すぐ

参考文献

境内案内板
『日本歴史地名体系 長野県の地名』（平凡社）
谷川健一編『日本の神々 -神社と聖地- 9 美濃 飛騨 信濃』（白水社）

関連項目

善光寺七社
湯福神社
武井神社
妻科神社
加茂神社
木留神社
柳原神社（笹焼神社）

外部リンク

* 美和神社（全国善光寺会）

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