聿部

聿部（いつぶ）

聿部は、漢字を部首によって整理したグループの一つであり、康熙字典の214部首の中で129番目に位置しています。この部首は、主に筆や書くことに関する漢字と関連していますが、実際に聿部に含まれる漢字は限られています。

聿の意味と形

「聿」という漢字は、筆を意味しており、漢字の起源を探ると『説文解字』では、「𦘒」という形声文字が示され、「一」という音と結びついています。この字は、筆を手に持っている形を象ったものであると考えられています。後の世で、筆という意味をより明確にするために「竹冠」が追加され、「筆」という文字が形成されました。

意符としての役割

聿部の意符は、筆や書くことに関する内容を示していますが、この部首に属する漢字は非常に限られています。たとえば、「書」に関しては曰部、「畫（画）」は田部に含まれています。このことから、聿部には「聿」の形状やそれに類似する「𦘒」、「肀」の形を持つ漢字だけが納められています。

聿部の特徴

聿部は多様な漢字を含んでいますが、共通しているのは、手指に関連する形象です。「肀」という字形は、手の指（ここでは「又」と記載）を用いて何かを操っている様子を表現しています。このように、聿部の字は手指を伴う行為や動作に結びついているのです。なお、同様の要素を持つ「隶」については、別途隶部が設けられています。

部首の通称

この部首は、地域によって異なる名前が付けられています。日本では「ふでづくり」や「ふで」、韓国では「붓율부（but yul bu）」と呼ばれ、英米では「Radical brush」と名付けられています。また、部首字として「聿」が使用されています。

音について

聿部に関連する音の体系はさまざまで、例えば中古音の分類では、広韻では「余律切」、術韻、入声の音が示されており、詩韻では「質韻」、入声が関連しています。現代音では、普通話ではピンインの「yù」（注音：ㄩˋ）、広東語での表現は「wat6」となり、さらに日本では音読みとして「イツ（漢音）」や「イチ（ヰチ）（呉音）」が用いられます。韓国語では「율（yul）」、「訓」では「붓（but、筆）」と表示されます。

例字

聿部に属する具体的な文字には、聿の他にも「肄」、「肆」、「肅（粛）」、「肇」などがあります。これらの漢字は、聿部が収める字形や意義を理解する上での参考となります。全体として、聿部は漢字の中でも特に書くことや筆に関連する特性を示している、興味深い部首の一つと言えるでしょう。

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