航空地球局

航空地球局とは

航空地球局は、無線局の一種であり、電波法によって「陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により航空機地球局と無線通信を行うもの」と定義されています。これは、航空機と地上を結ぶ通信ネットワークにおいて、重要な役割を果たしています。

定義

電波法第70条の3第2項および電波法施行規則第4条第1項第20号の4により、航空地球局は明確に定義されています。また、電波法施行規則第3条第2項第2号では、航空移動衛星業務を「航空機地球局と航空地球局との間又は航空機地球局相互間の衛星通信の業務」と定めています。これらの定義により、航空地球局がどのような役割を担うかが理解できます。

概要

航空地球局は、インマルサットやMTSATといった人工衛星を介して、航空機との間で通信を行います。この局には、通信網の管理機能や、地上の通信網との接続設備も併設されています。地球局の一種であり、航空移動業務においては航空局に相当する役割を担います。具体例としては、スカパーJSAT横浜衛星管制センターや、国土交通省の常陸太田航空衛星センター、神戸航空衛星センターなどが挙げられます。

免許

電波法第5条第1項により、原則として外国籍の者には無線局の免許は与えられません。しかし、第2項には例外規定があり、電気通信業務を目的とする場合は、外国人や外国の会社・団体でも航空地球局を開設できます。航空地球局の種別コードはTBで、免許の有効期間は免許の日から5年ですが、初回に限り有効期限は4年を超えて5年以内の11月30日となります。

用途

航空地球局は、電気通信事業用として主に利用されており、その他には航空運輸用や国家行政用があります。局数の推移からも、電気通信事業用が中心であることが分かります。

旧技術基準の機器の使用

無線設備規則の改正により、旧技術基準に基づく無線設備の免許は平成29年11月30日までとされました。使用は平成34年11月30日までとされていましたが、コロナ禍の影響により使用期限は「当分の間」延期されています。対象となる機器は、平成17年11月30日までに製造されたもの、および経過措置として平成19年11月30日までに製造されたものです。詳細については、無線局#旧技術基準の機器の使用を参照してください。

運用

電波法第16条第1項ただし書および電波法施行規則第10条の2により、航空機の安全運航に関わる航空地球局は、運用開始の届出が必要です。電波法第70条の3により、航空地球局は原則として常時運用しなければなりません。ただし、航空運輸用以外の航空地球局については、この限りではありません。また、電波法第70条の4、無線局運用規則第146条第2項及び第147条第3号に基づき、航空運輸に関する通信を取り扱う場合は、特定の周波数を聴守する必要があります。

操作

航空地球局の操作には、原則として航空無線通信士以上の資格を持つ無線従事者が必要です。ただし、電波法施行規則第33条に規定された「簡易な操作」は、無線従事者の管理下であれば行うことができます。また、遭難通信や緊急通信の操作は、無線従事者でなければ行うことができません。

検査

航空地球局の検査には、落成検査、定期検査、変更検査があります。電気通信事業用の局は、登録検査等事業者による点検結果に基づいて一部検査を省略することができます。定期検査の周期は、航空機の安全運航に関する通信を行うものは1年、それ以外は5年です。

沿革

1989年に電波法施行規則に航空地球局の定義が追加され、1993年には電波利用料制度が導入されました。また、1998年には、外国籍の者が電気通信事業用の航空地球局を開設できるようになりました。

脚注

関連情報については、下記の項目も参照ください。

無線局
地球局
人工衛星局
航空機地球局
* 航空局

外部リンク

関連情報を参照ください。

もう一度検索