花山院兼定

花山院兼定（かさんのいん かねさだ）は、南北朝時代に活躍した公卿です。内大臣・花山院長定の子として生まれ、花山院家11代当主となりました。官位は正二位・権大納言、左近衛大将にまで昇りました。

若くして花山院家を継ぐ

父・長定が若くして出家したため、兼定は若くして家督を継ぐことになります。急速な昇進を遂げ、23歳で権大納言に任ぜられました。その後、33歳で右近衛大将を兼ね、長くその地位にありましたが、左大将に転任後、大臣に昇進することなく薨去しました。

経歴

以下に、『公卿補任』と『尊卑分脈』に基づいて、兼定の経歴を詳細に記述します。

建武5年/延元3年（1338年）1月5日、叙爵。
暦応2年/延元4年（1339年）1月5日、従五位上に昇叙。
暦応4年/興国2年（1340年）1月6日、正五位下に昇叙。同年12月22日、侍従に任ぜられる。
暦応5年/興国3年（1342年）1月5日、従四位下に昇叙。
康永2年/興国4年（1343年）1月5日、従四位上に昇叙。同月28日、右中将に転任。
康永3年/興国5年（1344年）1月24日、紀伊介を兼ねる。
貞和2年/正平元年（1346年）2月21日、正四位下に昇叙。
貞和4年/正平3年（1348年）、紀伊介を止める。同年10月7日、左中将に転任。
貞和5年/正平4年（1349年）11月25日、従三位に叙される。左中将は元の如し。
文和3年/正平9年（1354年）4月15日、参議を経ず権中納言に任ぜられる。
延文元年/正平11年（1356年）1月16日、帯剣を許される。
延文2年/正平12年（1357年）4月15日、正三位に昇叙。
延文4年/正平14年（1359年）4月21日、従二位に昇叙。
延文5年/正平15年（1360年）4月16日、権大納言に任ぜられる。
貞治元年/正平17年（1362年）5月7日、正二位に昇叙。
応安3年/建徳元年（1370年）11月19日、右近衛大将を兼ねる。
永和4年/天授4年（1378年）4月27日、左近衛大将に転任。同年8月27日、左大将辞任。同年11月30日、薨去。

系譜

父：花山院長定
母：不詳
妻：九条光経（権大納言・民部卿）女
男子：花山院通定
生母不明の子女
男子：花山院基定
男子：定助
男子：行伊
男子：永伊
男子：行雅
男子：尊雅


花山院兼定は、その時代において重要な役割を果たした公卿の一人であり、その経歴は南北朝時代の政治情勢を理解する上で貴重な情報源となります。

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編） ※ 貞和5年／正平4年（1349年）に兼定が非参議従三位となった時以降の記事。
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編） ※「花山院兼定」および「花山院長定」の項。

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