菅原古人

菅原古人（すがわら の ふるひと）は、奈良時代後期から平安時代初期にかけて活躍した貴族です。氏姓は土師宿禰（はじのすくね）から菅原宿禰（すがわらのすくね）へと改めました。阿波守・土師宇庭（はじのうにわ）の子として生まれ、官位は従五位下・遠江介（とおとうみのすけ）にまで昇りました。

生涯と事績

古人は、光仁天皇の時代末期の宝亀10年（779年）に外従五位下に叙せられます。その後、天応元年（781年）に桓武天皇が即位すると、従五位下・遠江介に任じられました。この頃、古人を含む一族15名が、居住地である大和国添下郡菅原邑（やまとのくにそうしたぐんすがわらのむら）に因んで、土師姓から菅原姓への改姓を願い出て、これが認められます。この改姓の背景には、土師氏が代々天皇の葬儀や祭祀を司ってきたものの、当時は葬儀のみを担う状況であり、本来の役割とは異なっていたことが挙げられます。そのため、居住地名にちなんだ菅原姓への改姓を望んだとされています。

古人の没後、延暦4年（785年）には、侍読（じとう：天皇に学問を講じる役）としての功績が認められ、その子息4名に対し、学業に励むための衣服と食料が支給されました。これは、古人の学識の高さが朝廷からも認められていた証左と言えるでしょう。

人物像

古人は、学者として非常に高名であり、その学識は他の追随を許さないほどであったと伝えられています。しかし、その一方で、家には十分な財産がなく、子供たちは貧困に苦しんだという記述が残っています。このことから、古人は学問に打ち込む一方で、家計を顧みる余裕がなかったことが伺えます。

官歴

古人の官歴は、『続日本紀』に詳しく記されています。時期は不明ですが、正六位上に任じられ、宝亀10年（779年）1月23日には外従五位下に叙せられています。天応元年（781年）5月25日には遠江介に任じられ、6月16日には従五位下（内位）に昇進、そして6月25日には土師宿禰から菅原宿禰へと改姓しました。

系譜

古人の父は土師宇庭、母は不詳です。生母不明の子女として、菅原清岡、菅原清公（770年 - 842年）、菅原清人などが記録されています。

まとめ

菅原古人は、奈良時代から平安時代初期にかけて、学者として名を馳せた貴族です。土師氏から菅原氏へと改姓し、その子孫は学者の家系として発展しました。その一方で、家計は苦しく、子息は貧困に苦しんだという逸話も残っています。学問に秀でた人物であったことは、没後に子息たちが学業に励むための支援を受けたことからも明らかです。

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