萩京子

萩京子（はぎ きょうこ）は、1956年1月23日に東京都で生まれた日本の作曲家です。彼女は、現代日本における声楽作品、特にオペラの分野でその才能を発揮しています。

音楽の道に進んだ萩京子は、東京芸術大学音楽学部作曲科で専門的な教育を受けました。卒業後、作曲家としてのキャリアを本格的にスタートさせます。

彼女の活動の中心的な舞台となっているのが、オペラシアターこんにゃく座です。この劇団は、日本語による創作オペラの上演を特色としており、言葉を大切にした作品作りで知られています。萩京子は、こんにゃく座の代表および音楽監督を務めており、劇団の芸術的方向性を定めるとともに、数多くのオペラ作品を作曲してきました。こんにゃく座での活動は、彼女の創作活動と密接に結びついています。

また、萩京子は作曲家の吉川和夫、寺嶋陸也と共に、「緋国民楽派」という作曲家グループを結成しています。このグループは、共同での作品発表などを通じて、現代音楽における様々な試みを行っています。

萩京子の作品は多岐にわたりますが、最も数多く手がけているのはオペラ作品です。こんにゃく座のために作曲されたオペラには、初期の作品である『なにもないねこ』（1980年）、『あおくんときいろちゃん』（1982年）、『シグナルとシグナレス』（1985年）があります。その後も、宮沢賢治の作品に取材した『よだかの星』（1995年）、『想稿・銀河鉄道の夜（ジョバンニとカムパネルラ）』（1996年）、太宰治の小説に基づくひとりかたりオペラ『走れメロス』（2003年）、芥川龍之介の童話による『注文の多い料理店』（2004年）など、日本の著名な文学作品を題材にしたものが少なくありません。

その他の主要なオペラ作品には、以下のようなものがあります。

『北守将軍と三人兄弟の医者』（1992年）
『金色夜叉』（1995年）
『スマイル－いつの日か、ひまわりのように』（1997年）
『ガリバー』（1997年）
『月の民』（1998年）
『ロはロボットのロ』（1999年）
『まげもん-MAGAIMON-』（2002年）
『好色一代男』（2005年）
『ピノッキオ』（2007年）
『ネズミの涙』（2009年）
『女たちの平和』（2009年）
『ゴーゴリのハナ』
『アルレッキーノ』（2013年）
『銀のロバ』（2013年）
『おぐりとてるて－説教節「小栗判官照手姫」より－』（2014年）
『タング－まほうをかけられた舌－』（2017年）

オペラ以外にも、萩京子は独唱曲である「ソング」や、合唱曲も数多く作曲しています。ソングには「朝に晩に読むために」「おれが墓地に眠るとき」「枯れたオレンジの木のシャンソン」「木のグリーンによせる朝の挨拶」「暗い柳の木立のかげ」「はじめのことば」「わたしは咳」などがあります。合唱曲としては、寺山修司の詩による五つの混声合唱曲「飛行機よ」や、石垣りんの詩による五つの混声合唱曲「朝のパン」、混声合唱とピアノのための「きもちのふかみに」、混声合唱のための「はっぱとりんかく」、そして男声合唱のための「生まれたよ ぼく」（2022年）といった作品があります。

器楽作品としては、ピアノのための「12の前奏曲」や、ソロ・ヴァイオリンのための「A Forest」を発表しています。

彼女の作品の一部は楽譜としても出版されており、『飛行機よ 五つの混声合唱曲』や『12の前奏曲』などが入手可能です。また、オペラ『よだかの星』や『ロはロボットのロ』、『ピノッキオ』をはじめとする作品はCDとしてリリースされ、広く聴かれています。インタビュー記事が専門誌に掲載されるなど、メディアでもその活動が紹介されています。

萩京子は、オペラシアターこんにゃく座における創造的な活動と、多様なジャンルにわたる作品を通じて、現代日本音楽において独自の存在感を放っています。その音楽は、言葉と声の力を最大限に引き出し、聴く者に深い印象を与え続けています。

もう一度検索