薛居正

薛居正（せつ きょせい）は、912年に生まれ、981年に没した、五代から北宋初期にかけての重要な史学家です。字は子平、諡は文恵。彼は汴州浚儀県（現在の河南省開封市）の出身です。

経歴

薛居正は後唐の清泰年間に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。後周の時代には刑部侍郎という要職に就き、その能力を示しました。北宋が成立すると、彼は戸部侍郎、兵部侍郎、吏部侍郎といった重要な官職を歴任し、朝廷での存在感を増していきました。特に、973年には参知政事、門下侍郎に昇進し、国政の中枢を担うことになりました。

薛居正の最も重要な業績の一つとして、『五代史』の監修が挙げられます。この歴史書は、盧多遜や扈蒙らが編纂を担当し、薛居正がその監修を務めました。『五代史』は、別名『梁唐晋漢周書』とも呼ばれており、後に欧陽脩が編纂した『新五代史』と区別するために、『旧五代史』と呼ばれるようになりました。この編纂作業は、彼の歴史家としての知識と洞察力を示すものであり、後世の歴史研究に多大な影響を与えました。

さらに、薛居正は同平章事を経て、979年には司空という高い位階にまで昇り詰めました。しかし、彼の晩年は、丹砂（水銀化合物）中毒によって終わりを迎えました。981年、70歳でその生涯を閉じたと伝えられています。

薛居正は、著書として『文恵集』を残しており、彼の文学的才能も示すものとなっています。彼の業績は、単に歴史書の編纂に留まらず、政治家、官僚としての幅広い知識と経験に裏打ちされたものでした。彼は、五代から北宋という激動の時代において、その才能を発揮し、後世に名を残した人物と言えるでしょう。

彼の生涯と業績は、当時の政治や文化、歴史の研究において重要な資料となっており、彼の編纂した『旧五代史』は、その後の歴史研究に欠かせない基礎資料となっています。薛居正は、史学家としての側面だけでなく、政治家、官僚としての才能も持ち合わせており、多角的な視点から評価されるべき人物です。彼の人生は、当時の社会情勢と密接に結びついており、彼の足跡を辿ることで、当時の歴史に対する理解を深めることができるでしょう。

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