藤原信通

藤原信通（ふじわら の のぶみち）は、平安時代後期に活躍した公卿です。権大納言・藤原宗通の長男として生まれ、藤原北家中御門流という名門の家柄を背景に、早くから朝廷で重要な地位を占めました。

経歴

康和2年（1100年）に10歳で従五位下に叙爵し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。康和4年（1102年）には侍従に任ぜられ、昇殿を許されるという異例の待遇を受けました。さらに、白河院の昇殿も許され、院別当にも任命されるなど、白河院との関係を深めていきます。同年7月には、白河院からの御給により従五位上に叙せられ、康和5年（1103年）には、白河院の孫である皇太子宗仁親王（後の鳥羽天皇）家の昇殿も許されるなど、その寵愛ぶりが窺えます。

康和6年（1104年）には院別当として正五位下に昇進し、右近衛少将に任官。長治2年（1105年）には、院の御給で従四位下に叙せられ、伊予権介を兼任しました。嘉承2年（1107年）には従四位上に昇叙。天仁元年（1108年）には従四位上・左近衛中将に叙任され、天仁2年（1109年）には美作介を兼任。永久2年（1114年）には周防介を兼ね、禁色を許されるなど、順調に昇進を重ねました。

永久3年（1115年）には蔵人頭に補任され、同年中に参議に任ぜられて公卿の仲間入りを果たします。永久4年（1116年）には美作権守を兼ね、永久5年（1117年）には従三位に叙せられました。

しかし、保安元年（1120年）10月21日、30歳という若さで急逝しました。最終官位は従三位参議左近衛中将。同年7月には父・宗通が亡くなっており、喪中が明ける前に信通も亡くなったため、父子が同年中に相次いで亡くなるという異例の事態となりました。

藤原宗忠は、信通が琵琶や笛に長じ、その家風を伝えたと評しており、宗忠自身も親類の縁で催馬楽を伝えています。10月27日、鳥部野に葬送されました。

官歴

承徳2年（1198年）10月20日：著袴
康和2年（1100年）正月5日：従五位下
康和4年（1102年）正月23日：侍従
康和4年（1102年）正月27日：昇殿
康和4年（1102年）2月24日：白河院昇殿
康和4年（1102年）6月2日：白河院別当
康和4年（1102年）7月21日：従五位上（院御給）
康和5年（1103年）8月17日：宗仁親王家昇殿
康和6年（1104年）正月3日：正五位下（行幸院賞、院司）
康和6年（1104年）正月28日：右近衛少将
長治2年（1105年）正月27日：伊予権介
長治2年（1105年）4月10日：従四位下（院去年御給）
嘉承2年（1107年）正月5日：従四位上（閑院行幸賞）
天仁元年（1108年）10月14日：左近衛中将
天仁元年（1108年）12月20日：正四位下（行幸院賞、別当）
天仁2年（1109年）正月23日：美作介
永久2年（1114年）正月22日：周防介
永久2年（1114年）4月15日：禁色
永久3年（1115年）4月28日：蔵人頭
永久3年（1115年）8月13日：参議
永久4年（1116年）正月30日：美作権守
永久5年（1117年）11月15日：従三位（遷御三条皇后家賞）
保安元年（1120年）10月21日：薨去

系譜

父：藤原宗通
母：藤原顕季の娘
妻：藤原基隆の娘
男子：藤原行通（?-1180）
男子：藤原信経
生母不明の子女
女子：藤原公隆室
* 女子：藤原光隆室

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