藤原家政

藤原家政：平安時代後期の公卿

藤原家政（ふじわら の いえまさ）は、平安時代後期の公卿であり、藤原北家、関白・藤原師通の次男として生まれました。彼の生涯は、白河院政期における官界での昇進と、若くして亡くなったことによって特徴づけられます。

生涯

寛治2年（1088年）に従五位下に叙爵し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。その後、寛治8年（1094年）には侍従に任官し、嘉保3年（1096年）には左近衛少将に任ぜられました。永長2年（1097年）に従四位下、承徳2年（1098年）に左近衛中将、承徳3年（1099年）に従四位上、康和2年（1100年）には蔵人頭と、着実に昇進を重ねました。

康和4年（1102年）には従三位・参議に叙任され、ついに公卿の仲間入りを果たします。参議昇進後も近衛中将を兼帯し、永久元年（1113年）には正三位に至りました。しかし、永久3年（1115年）4月8日に36歳という若さで薨去しました。

人物像

藤原家政の人物像については、いくつかの逸話が残されています。父・師通が早くに亡くなった後、祖父である師実に養育されたとされ、幼少の頃には師実の足を洗う役目を担っていたと伝えられています。しかし、一方で、粗暴で作法に疎い面もあったようで、勅使から酒を賜った際の作法に誤りがあったことを藤原宗忠から批判されています。

官歴

以下に、藤原家政の官歴をまとめます。

寛治2年（1088年）：従五位下
寛治7年（1093年）：従五位上（中宮還御高陽院賞）
寛治8年（1094年）：侍従、禁色
嘉保2年（1095年）：正五位下（院行幸賞、関白息）
嘉保3年（1096年）：左近衛少将
永長2年（1097年）：兼備中権介、従四位下（行幸関白二条第賞）
承徳2年（1098年）：左近衛中将
承徳3年（1099年）：従四位上、兼播磨権介
康和2年（1100年）：蔵人頭
康和4年（1102年）：正四位下、参議、中将如元、従三位（天皇自高陽院還御内裏、本家賞）
康和5年（1103年）：兼近江権守
嘉承2年（1107年）：右近衛中将
嘉承3年（1108年）：兼周防権守
天永2年（1111年）：左近衛中将
天永3年（1112年）：止守
天永4年（1113年）：兼美作権守、正三位（松尾北野行幸行事賞）
永久3年（1115年）：薨去

系譜

父：藤原師通
母：藤原良綱の娘
妻：藤原公実の娘、藤原顕隆の娘、橘以綱の娘
男子：藤原雅教、行政、尊覚、覚安、道勝
女子：三条局、藤原家子

藤原家政の子孫は室町家（法性寺家）を称しましたが、室町時代に断絶しています。

参考文献

『公卿補任 第一篇』吉川弘文館、1982年
市川久編『近衛府補任 第一』続群書類従完成会、1992年

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