藤原公実

藤原公実（ふじわら の きんざね）

藤原公実は、平安時代後期に活躍した公卿・歌人です。最終的には正二位・権大納言にまで昇り、三条大納言とも呼ばれました。

生涯

公実は、大納言藤原実季の長男として生まれ、母は藤原経平の娘でした。閑院家の祖である太政大臣藤原公季の玄孫にあたります。兄弟には保実・仲実がおり、妹の苡子は堀河天皇の女御となり、鳥羽天皇を産んでいます。

白河院とは従兄弟という関係から、朝廷内での信頼も厚く、堀河天皇に近臣として仕えました。妻の光子は、堀河・鳥羽二代の天皇の乳母を務めています。

歌人としても才能を発揮し、長治2年（1105年）頃に奏覧された『堀河院御時百首和歌』にも歌を詠んでいます。『後拾遺集』以下の勅撰和歌集には、合わせて57首もの歌が収録されています。また、家集として『公実集』（ただし断簡のみが現存）があります。

嘉承2年（1107年）に甥である鳥羽天皇が即位した際、公実は摂関家の当主であった藤原忠実が若年であることを軽んじ、幼い天皇の外戚である自分こそが摂政に就任すべきだと主張しました。しかし、白河院別当の源俊明に「五代もの間、並の公卿として仕えた者が今になって摂関を望むとは」と一蹴されたという逸話が残っています。また、鳥羽天皇の即位直後には、天皇に近侍する公卿としての作法を知らなかったことを藤原忠実から批判されています。そのわずか4か月後、公実は病に倒れ、55歳で亡くなりました。

しかし、公実の権勢は子供たちの出世に引き継がれ、実行は太政大臣、実能は左大臣にまで昇り、末娘の璋子は鳥羽天皇の中宮となりました。そして、三条家、西園寺家、徳大寺家という三清華家の共通の祖となったのです。

系譜

父：藤原実季
母：藤原睦子 - 藤原経平女
妻：藤原基貞女
長男：藤原実隆（1079-1127）
次男：三条実行（1080-1162） - 三条家祖
妻：高階永業女
男子：藤原実兼（?-1130）
妻：藤原実政女
女子：藤原経実室（1071-1104）
妻：藤原光子（藤原隆方女） - 堀河、鳥羽天皇の乳母
男子：覚源 - 阿闍梨
三男：西園寺通季（1090-1128） - 西園寺家祖
四男：仁実（1091-1131） - 天台座主
五男：徳大寺実能（1096-1157） - 徳大寺家祖
女子：藤原実子 - 鳥羽天皇乳母、藤原経忠室
女子：藤原公子（1087?-?） - 藤原経実室、経宗・懿子母
女子：源有仁室（?-1151）
女子：藤原璋子（待賢門院）（1101-1145） - 鳥羽天皇中宮、女院
妻：藤原通家女
七男：藤原季成（1102-1165）
未詳
男子：済実（大僧正法務）
女子：藤原家政室

略歴

治暦4年（1068年）7月 従五位下
延久2年（1070年）12月 左兵衛佐
延久4年（1072年）正月 従五位上
延久4年（1072年）12月 蔵人
延久5年（1073年）正月 左少将
延久6年（1074年）正月 正五位下 備前介
承保元年（1074年）11月 従四位下
承保2年（1075年）正月 従四位上
承保2年（1075年）6月 中将
承保4年（1077年）正月 正四位下 中宮権亮
承暦4年（1080年）正月 蔵人頭
承暦4年（1080年）12月 参議
永保2年（1082年） 従三位
永保3年（1083年）11月 正三位
康和2年（1100年） 正二位 権大納言
康和5年（1103年）8月 春宮大夫
嘉承2年（1107年）11月14日 薨去。55歳。

関連項目

藤原氏の人物一覧
閑院流

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