藤原是人

藤原是人の生涯とその功績

藤原是人（ふじわら の これひと）は、奈良時代に名を馳せた貴族であり、藤原南家に属していました。彼の父は参議の藤原乙麻呂で、名は許人麿とも知られています。官位は正五位下であり、その地位を通じて朝廷において重要な役割を果たしていました。

経歴の歩み

彼の政治キャリアは宝亀元年（770年）に始まります。この年、称徳天皇の崩御後、白壁王（後の光仁天皇）が皇太子に冊立されると、藤原是人は従五位下に叙爵されます。翌年の宝亀2年（771年）には、大学助に任命され、彼の地位は一層高まりました。光仁朝では、図書頭や肥後守などの重要な役職を歴任し、特に宝亀9年（778年）の際には、参議の藤原是公と共に廣瀬大社と龍田大社に赴き、秋の豊穣を願う奉幣を行うなど、神事にも関与しました。

桓武朝においても、彼の活躍は続きます。大判事や中務少輔を経て、延暦4年（785年）8月には従五位上に昇進しました。しかし、同年9月には藤原種継の暗殺事件が発生し、政治的混乱が続いたために彼は同年10月に長門守に任命され、地方官に転身しました。

その後、延暦9年（790年）には治部大輔として京都に復帰し、延暦10年（791年）には右少弁に任命されました。これらの役職においても、彼は朝廷の政治に影響を及ぼす重要な存在であり続けました。

官歴の詳細

藤原是人の官歴は『続日本紀』から確認することができます。具体的には、以下の通りです。

• - 宝亀元年（770年）8月9日：従五位下
• - 宝亀2年（771年）7月23日：大学助
• - 宝亀5年（774年）3月5日：図書頭
• - 宝亀9年（778年）以前：肥後守
• - 延暦元年（782年）5月17日：大判事
• - 延暦3年（784年）4月2日：中務少輔
• - 延暦4年（785年）8月7日：従五位上
• - 延暦4年（785年）10月3日：長門守
• - 延暦9年（790年）7月24日：治部大輔
• - 延暦10年（791年）7月28日：右少弁
• - 時期不詳：正五位下

各役職において彼が果たした役割は、奈良時代の政治情勢にとって極めて重要でした。

家族と子孫

藤原是人の家系は、彼の父である藤原乙麻呂や母の広岡真都我（橘佐為の娘）に受け継がれました。彼の息子には藤原菊池麻呂がいますが、彼自身の業績に比べて、彼の家族の詳細な情報はあまり残されていません。ただ、藤原家の血脈が続いていることは分かります。

藤原是人は、奈良時代の日本の政治において重要な役割を担い、数多くの官職を通じて功績を築きました。彼の生涯は、多くの人々にとって奈良時代の貴族政治を知る上での貴重な手がかりとなります。

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