藤原是公

藤原 是公（ふじわら の これきみ）

藤原是公は、奈良時代後期の重要な公卿として知られ、その生涯と業績は当時の日本における政務の一端を担った。彼の初名は黒麻呂であり、父は藤原南家の武部卿であった藤原乙麻呂である。官位としては後に従二位右大臣に達し、贈従一位を追贈されることになった。彼の異名である「牛屋大臣」は、特に彼の業績を象徴する呼称として認識されている。

経歴

天平宝字4年（760年）、藤原乙麻呂が亡くなった後、藤原是公は天平宝字5年（761年）に従五位下の位に叙爵され、神祇大副や左勇士佐といった地方官としての職務を務めることとなる。彼が活躍した天平宝字8年（764年）には、藤原仲麻呂の乱が終息し、播磨守などの地方官を歴任することとなった。

称徳朝に入ると、天平神護元年（765年）には従五位上に昇進し、左衛士督へも任命される。彼はこの期間中に黒麻呂から是公へと改名し、その後、内豎大輔や侍従、内蔵頭といった重要な職を歴任する。

光仁朝が始まると、藤原是公はその昇進を続け、宝亀4年（773年）には正四位下、宝亀5年（774年）に参議に任命されて公卿の地位に加わる。さらに宝亀10年（779年）には従三位に叙され、文武の要職を幅広く歴任しながら、皇太子である山部親王の春宮大夫も兼任する。

天応元年（781年）、山部親王が即位すると、藤原是公は急速に出世し、正三位・中納言へと叙任される。同年代の藤原継縄を追い越し、翌年には大納言に昇進。延暦2年（783年）には右大臣として太政官の筆頭に上り詰め、延暦3年（784年）には従二位に達する。

彼の生涯の最尾にあたる延暦8年（789年）9月19日、藤原是公は63歳で亡くなる。その後、即日従一位を追贈され、彼の功績がいかに評価されていたかを物語っている。

人物像

藤原是公は大柄であり、威厳ある風貌を持っていた。彼は政治の実務に精通しており、政務を迅速かつ冷静に処理することができる優れた能力を備えていた。このようにして彼は、多くの政治的責任を果たしながら全うした官人であった。

官歴

彼の官歴は非常に詳細であり、次のような重要な任命を受けている。

• - 時期不詳：正六位上
• - 天平宝字5年（761年）1月：従五位下
• - 天平宝字8年（764年）：播磨守、山背守
• - 天平神護元年（765年）：従五位上、左衛士督、黒麻呂から是公へ改名
• - 宝亀5年（774年）：参議
• - 天応元年（781年）：正三位、中納言
• - 延暦2年（783年）：右大臣
• - 延暦3年（784年）：従二位
• - 延暦8年（789年）：薨御（従二位右大臣兼中衛大将）、贈従一位

このように、藤原是公は奈良時代後期において重要な役割を果たし、その成果は後世にわたって語り継がれることとなった。彼の政治的な知見と実務能力は、当時の政治に多大な影響を与えたことは間違いない。

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