藤原末茂

藤原末茂

藤原末茂（ふじわら の すえしげ/すえもち）は、奈良時代の貴族であり、藤原北家に連なります。父は左大臣を務めた藤原魚名です。

経歴

末茂は宝亀8年（777年）に、父・魚名の曹司に光仁天皇が行幸した際、その慶事により従六位上から三階級昇進し、従五位下に叙せられました。同年10月には図書頭に任じられます。その後、左衛士員外佐や中衛少将といった武官、美濃介や肥後守などの地方官を歴任しました。

桓武天皇の時代に入ると、天応2年（782年）に父・魚名が左大臣の座から突如失脚します。末茂もまた、兄弟と共に連座し、土佐介に左遷されるという憂き目に遭いました。しかし、翌延暦2年（783年）には兄・鷹取と共に京へ戻ることを許され、延暦3年（784年）7月には伊予守に任じられます。しかし、同年9月には再び日向介へと左遷されるという、不遇の時代を過ごしました。

その後、再び赦免されたと見え、延暦7年（788年）には内匠頭に任じられ、延暦9年（790年）には従五位上・美作守に叙任されています。

官歴

『続日本紀』に記載されている末茂の官歴は以下の通りです。

時期不詳：従六位上
宝亀8年（777年）
3月16日：従五位下
10月13日：図書頭
宝亀9年（778年）2月9日：美濃介
宝亀10年（779年）
2月9日：左衛士員外佐
2月23日：肥後守
宝亀11年（780年）
2月9日：左衛士員外佐、肥後守如故
9月1日：中衛少将
天応2年（782年）6月14日：土左介
延暦2年（783年）7月23日：入京
延暦3年（784年）
7月13日：伊予守
9月12日：日向介
延暦7年（788年）3月21日：内匠頭
延暦9年（790年）
2月27日：従五位上
3月10日：美作守

系譜

『尊卑分脈』によると、末茂の系譜は以下の通りです。

父：藤原魚名
母：藤原宇合の娘
生母不詳の子女
男子：藤原沢継
男子：藤原野継
男子：藤原門継
男子：藤原総継
女子：藤原道雄室

出典

宇治谷孟『続日本紀 （下）』講談社学術文庫、1995年
『尊卑分脈 第二篇』吉川弘文館、1987年

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