藤原殖子

藤原殖子の生涯

藤原殖子（ふじわら の しょくし、またはたねこ）は、1157年に生を受け、1228年にこの世を去った、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した女性です。彼女は高倉天皇の後宮に仕え、後高倉院と後鳥羽天皇の母であり、女院として知られています。父は従三位の藤原信隆、母は藤原休子であり、内大臣の坊門信清とは同母弟です。院号は七条院（しちじょういん）と呼ばれました。

経歴

藤原殖子は、最初は兵衛督君という地位にあり、中宮平徳子に仕えていました。その後、高倉天皇に引き立てられ、典侍（てんじ）に任命されました。彼女は、第二皇子である守貞親王と、第四皇子の尊成親王（後の後鳥羽天皇）を出産しました。守貞親王は、平家の都落ちに伴い西国へ連行されることになり、のちに後鳥羽天皇が即位する道筋を作りました。

建久元年（1190年）、藤原殖子は従三位に昇進し、准三后の地位に就いた後、立后を経ずして女院となりました。彼女は「七条院」と称され、元久2年（1205年）には出家します。後鳥羽天皇から多くの七条院領が譲られ、その一部には水無瀬殿も含まれていました。

承久の乱の際、後鳥羽院と彼女の孫たち（土御門院、順徳院、雅成親王、頼仁親王）が配流されたにもかかわらず、藤原殖子は後堀河天皇（守貞親王の子）の祖母として京都に留まりました。晩年には後高倉院に先立たれ、また後鳥羽院との再会も実現しませんでした。藤原殖子は、安貞2年（1228年）に72歳で亡くなり、彼女の所領の大部分は修明門院に譲渡されました。

出家とその後

後に七条院には多くの女性が住み、藤原殖子の影響はその後の権力のダイナミズムにも寄与しました。彼女の出家は、当時の女性としては珍しい選択であり、彼女の人生観や信仰が反映された決断であったと言えるでしょう。

備考

建久6年（1195年）の新年、後鳥羽天皇の生母である藤原殖子に向かって、公卿たちは拝礼を行いましたが、関白の九条兼実だけは拝礼をしませんでした。これは、彼の父藤原忠通以来の慣例を理由にし、「女院が上皇と同居していない」からだとされています。このことは、摂関家や貴族社会における女性の地位や役割についての一つの見方を示しています。

藤原殖子の生涯は、彼女自身の政治的な存在感とも相まって、平安時代末期から鎌倉時代の日本の女性の地位を考える上で非常に重要な一例となっています。

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