藤巻清志

藤巻清志：不屈の闘志を燃やした競輪選手

藤巻清志（ふじまき きよし、1950年8月15日 - ）は、元競輪選手で、日本競輪選手会北海道支部に所属していました。競輪学校第27期生として、実兄である藤巻昇（22期）と共に、競輪界でその名を轟かせました。

ラグビーから競輪の世界へ

山梨県出身の藤巻は、山梨県立石和高等学校時代にはラグビーに打ち込んでいました。その後、競輪選手への道を志し、神奈川県を最初の登録地として、師匠である高原永伍の指導を受けました。1970年2月19日、平塚競輪場でデビューを飾り、初勝利と完全優勝を同日に達成するという鮮烈なデビューを飾りました。

兄弟での活躍

1972年には、競輪祭新人王戦を制覇。兄・昇も1968年に同タイトルを獲得しており、競輪史上初の兄弟制覇という偉業を成し遂げました。1975年の高松宮杯決勝では、阿部道、兄・昇らを破り、初の特別競輪（現在のGI）タイトルを獲得。当時はまだ無冠だった兄よりも先にGIタイトルを獲得しました。翌1976年のオールスター競輪（前橋競輪場）決勝では、兄・昇が逃げ、藤巻がマークする形でレースが進みましたが、結果は昇が優勝、藤巻が2着。この結果を受け、競輪マスコミは「兄弟仁義」と報道し、史上初の兄弟GI優勝達成と合わせて大きな話題となりました。

1977年の競輪祭競輪王戦では、連覇を狙う阿部良二を最後の直線で差しきり、2度目のGI制覇。1978年の日本選手権競輪（いわき平競輪場）決勝では、逃げる山口健治、番手の山口国男という山口兄弟の3番手からレースを進め、直線で国男を交わして優勝。国男に「脚が三角に回った」と言わしめるほどの見事な勝利で、GI連覇を果たしました。

北海道への転籍と引退

1985年には、兄・昇が登録地としている北海道へと転籍。2004年9月に引退するまで、通算495勝を挙げました。兄・昇も翌2005年に引退し、2006年からはホームバンクである函館競輪場において、「藤巻兄弟杯」と銘打ったS級シリーズ（FI）が開催されています。

世界選手権ケイリンでの「ベストルーザー」

1980年、世界自転車選手権（フランス・ブザンソン）でケイリンが正式種目として初採用された際、藤巻は兄・昇と共に決勝に進出しました。しかし、当時のケイリンは日本の競輪とは異なり、誘導のペースが異常に速く、残り1周の時点で時速60km近いスピードが出ていました。藤巻兄弟は5、6番手の位置でレースを進めるしかありませんでしたが、最終バック付近で、藤巻は兄・昇を連れて捲りを敢行。4コーナー付近で、先頭のオーストラリアのダニー・クラークを捲りきりました。しかし、直線でクラークに抜き返され、さらにダニエル・モレロンら後続勢にも抜かれ、昇は6着、藤巻は7着に終わりました。

このレースでの藤巻の果敢な走りは、開催地フランスのマスコミから「信じられない！」、「中野浩一以外の日本人選手もこんなにすごかったのか！」と絶賛され、優勝したクラークよりも敗れた藤巻に大きな賞賛記事が提供されました。このことから藤巻は「ベストルーザー」として語り継がれています。

参考資料

自転車競技マガジン（発行日不詳。ベースボールマガジン社）

関連項目

競輪選手一覧
藤巻昇（実兄）
ダニー・クラーク

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