藤田雅

藤田雅(ふじた みやび)は、日本の音楽家であり、ピアニストフルート奏者、指揮者、音楽教育者として多岐にわたる活動を展開しています。4歳から音楽教育を受け始め、13歳でフルート、15歳で作曲を学び始めました。

桐朋学園大学音楽学部フルート専攻を卒業、同研究科を修了後、フルートを峰岸壮一氏に師事。三村園子、根岸道子、工藤重典、ジェームズ・ゴールウェイ、クリスティアン・ラルデといった著名な音楽家からも指導を受けました。室内楽においては数住岸子、山崎伸子、中川良平、カール・ライスターアンリエット・ピュイグ=ロジェに師事。さらに、ピアノを大原宣子氏に、作曲・和声学を森垣桂一、香月修の両氏に師事するなど、幅広い音楽知識と技術を習得しました。

1987年に渡米し、インディアナ大学大学院フルートと室内楽を学びましたが、1989年にピアノ科に転科し、練木繁夫氏に師事。1990年にはジュリアード音楽院大学院ピアノ伴奏科に進み、マーシャル・ウィリアムソン、ジョナサン・フェルドマン、マーゴ・ギャレットといった名だたる指導者の下で研鑽を積みました。在学中から室内楽ピアニストとして、カーネギーリサイタルホールやリンカーンセンターをはじめ、アメリカ各地やヨーロッパの主要都市で演奏活動を行いました。ジュリアード音楽院教授のフルート奏者キャロル・ウィンセンスの専属ピアニストも務め、1991年には国連本会議場での「平和コンサート」に出演、その模様は全米に生中継されました。また、フィンランド大使公邸での音楽会にゲストとして招かれたり、アメリカのラジオやテレビ番組にも数多く出演しています。

1992年にジュリアード音楽院大学院課程を修了後、同音楽院のスタッフピアニストに就任。1993年からは神戸国際フルートコンクールの公式ピアニストを務めています。1995年にはサンフランシスコ・オペラ「メローラ・オペラプログラム」のオペラコーチ/ピアニストに就任し、オペラ制作の音楽スタッフとして活躍。マリリン・ホーン、レジーヌ・クレスパン、クレイグ・ルーテンバーグらのマスタークラスでピアニストを務め、オペラコーチに贈られる最高位「Otto Guth Memorial Award」を日本人として初めて受賞しました。また、同歌劇場オペラセンターの「ウェスタン・オペラ・シアター」全米ツアーでは副指揮者/オペラコーチを務めました。

ピアニストとしての共演者は、ジーン・バックストレッサー(フルート)、シュテパン・トゥルノフスキー(ファゴット)、ミシェル・デボスト(フルート)、アラン・マリオン(フルート)、キャロル・ウィンセンス(フルート)など、国内外の著名な音楽家が名を連ねます。その他にも、多くの演奏家と共演し、室内楽ピアニストとしての高い評価を得ています。

また、女優の岸田今日子(朗読)やジャズミュージシャンとの共演、アマチュア音楽団体との共演・指導も積極的に行っています。1995年から1999年には慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団ピアニストを務め、畑中良輔北村協一らと共演しました。早稲田大学グリークラブ関西学院グリークラブなど、日本を代表するアマチュア男声合唱団にもゲストピアニストとして出演しています。

1996年には新国立劇場ピアノ選定有識者会議委員(文部科学省)に就任。2003年からは長崎室内楽祭選考委員・講師、同年には霧島国際音楽祭にも招聘アーティストとして参加しました。平成18年度には文化庁芸術祭に参加しています。

2004年には台湾の聖徳基督学院大学で室内楽・ピアノ伴奏法マスタークラスとオーケストラ指導を行い、台北市と中歴市でリサイタルを開催しました。2006年からは豊嶋泰嗣ヴァイオリンセミナー(佐世保)にてピアノ伴奏講師と弦楽合奏指揮者を務めています。桐朋学園芸術短期大学特別招聘講師(室内楽・ピアノ伴奏法担当)、洗足学園音楽大学講師(オーケストラ・フルートオーケストラ・室内楽担当)も務め、後進の育成にも力を入れています。

指揮者としては、テキサス・フォートワース交響楽団、インディアナ大学バレエ団、ジュリアード室内アンサンブル、新星日本交響楽団などを指揮。2003年には「豊嶋泰嗣ヴァイオリン協奏曲の夕べ」で新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮し、2011年には「新日本フィルトップメンバーと歌う“モーツァルト/レクイエム”」を指揮しました。2010年から3年間は東京女子医科大学オーケストラの指揮者を務めました。2020年4月には長崎シティオペラ音楽祭2020の指揮者として予定されていましたが、COVID-19の影響で2021年4月に延期され、指揮者を務める予定です。

録音作品では、時任和夫の『ピッコロ・ヴィルトゥオーゾ』、出口清子の『パリのフルート音楽』、江口有香の『MEDITATION』などでピアノ演奏を担当し、その高い演奏技術と音楽性が評価されています。

藤田雅は、その卓越した音楽性と幅広い知識、教育者としての情熱をもって、日本の音楽界に多大な貢献を続けている音楽家です。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。