袖岡文景

袖岡文景（そでおか ふみかげ）

袖岡文景は、寛政11年7月28日（1799年8月28日）に生まれ、安政2年6月23日（1855年8月5日）に没した江戸時代後期の地下官人です。本姓は橘氏で、袖岡和景の子であり、袖岡景命の父にあたります。

官歴

文化2年（1805年）に父の死により家督を継ぎました。その後、文化5年5月27日（1808年）に正六位下采女佑に任ぜられ、文化13年1月18日（1816年）には従五位下玄蕃助に任ぜられました。文政7年1月20日（1824年）には従五位上に叙され、天保3年1月27日（1832年）に正五位下（玄蕃助）に叙されるに至り、これが彼の極官となりました。

地下官人としての活動

袖岡文景は、蔵人所衆・上南座に属する地下官人として活動しました。地下官人とは、下級の公家のことで、朝廷の実務を担う存在でした。彼は、朝廷での職務をこなしつつ、勧修寺家の家司としても活動しました。

勧修寺家の家司としての活動

勧修寺家の家司として、台所役などの雑務をこなす傍ら、天保10年（1839年）からは雑掌（家令）として家政を取り仕切るようになりました。また、勧修寺経理の教育係も務め、その育成に貢献しました。

『山城国京都袖岡玄蕃助家記』

袖岡文景の日記は、『山城国京都袖岡玄蕃助家記』として現存しています。この日記は、三井文庫旧蔵、国文学研究資料館所蔵で、計6年分が確認されています。日記の内容は、江戸時代の地下官人の活動や、堂上家（公家の家柄の一つ）の経営について知る上で貴重な史料となっています。

参考文献

『地下家傳 覆刻版』（自治日報社、1968年）
『国書人名辞典 3』（岩波書店、1996年）
* 西村慎太郎『近世朝廷社会と地下官人』（吉川弘文館、2008年） ISBN 978-4-642-03433-3

袖岡文景は、江戸時代後期の地下官人として、朝廷と公家社会を支えた人物であり、彼の日記は、当時の社会を知る上で重要な資料となっています。

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