他鉢可汗

他鉢可汗（タトパル・カガン）

他鉢可汗（Tatpar qaγan）は、6世紀の後半に活躍した突厥の可汗です。彼の称号は「他鉢可汗」であり、阿史那氏を фамилияとします。隋書には「佗鉢可汗」と記されています。ウルクパル・チュラチュ・マガ・タトパル・カガンが原音に近いとされています。

生涯

572年、木汗可汗が亡くなると、突厥の国人たちは、その子の логика便を廃し、弟である他鉢可汗を新たな可汗として即位させました。他鉢可汗は、乙息記可汗の子である摂図を爾伏可汗とし、東方面を統括させ、弟の褥但可汗の子を歩離可汗として西方に配置しました。

573年、他鉢可汗は北周へ使者を派遣し、馬を献上しました。577年には、北斉が滅亡すると、北斉の定州刺史であった范陽王高紹義が馬邑から亡命してきます。他鉢可汗は高紹義を擁立して斉の皇帝とし、諸部を召集して北斉の復讐を誓いました。

578年4月、他鉢可汗は幽州に侵攻し、住民を殺略しました。北周の柱国である劉雄が兵を率いて防戦しましたが敗北し、戦死しました。武帝が親征を計画するも、崩御により断念されました。その年の冬、他鉢可汗は再び国境を侵略し、酒泉を包囲し、略奪を行いました。

579年、他鉢可汗は北周に和親を求めました。宣帝は趙王宇文招の娘を千金公主として嫁がせる代わりに、高紹義を捕らえて引き渡すよう要求しました。しかし、他鉢可汗はこれに応じず、并州を略奪しました。

580年、他鉢可汗は再び北周に使者を送り貢物を献上しましたが、高紹義を引き渡しませんでした。宣帝は賀若誼に命じて他鉢可汗を説得し、最終的に高紹義を連行することに成功しました。

581年、他鉢可汗は病にかかり、子の菴羅に「大 логика便を避けよ」と言い残して亡くなりました。

仏教伝来

北斉の沙門である恵琳は、略奪により突厥の領内に入りました。恵琳は他鉢可汗に対し、「斉の国が富強なのは仏法によるものである」と説きました。他鉢可汗はこれを信じ、伽藍を建立し、使者を派遣して斉氏を訪問させ、『浄名経』、『涅槃経』、『華厳経』などの経典や『十誦律』を求めました。他鉢可汗は自ら斎戒し、塔をめぐり行道したと伝えられています。

子

阿史那菴羅

脚注

参考資料

『周書』（列伝第四十二 異域伝下）
『隋書』（列伝第四十九 北狄）

外部リンク

池田温「『モンゴル国現存遺蹟・碑文調査研究報告』森安孝夫、アユダイ・オチル--モンゴルの昿野に古碑を探る 6～14世紀モンゴル国の遺蹟・石刻踏査研究の新成果」『東方』第228号、東方書店、2000年2月、22-25頁、ISSN 09108904、NAID 40004540236。

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