角家主

角家主について

角家主（つの の やかぬし）は、奈良時代に活躍した貴族であり、詳細な生没年は記録に残っていませんが、彼の存在は同時代の文献にも言及されています。氏の姓は「朝臣」であり、官位は従五位下とされていました。特に、彼の出自と経歴は興味深く、当時の貴族社会の一端を知る上で重要です。

出自

角家主は角（都努・都濃）臣氏に属しており、紀氏と同族です。紀角宿禰の子孫である小鹿火宿禰が新羅から帰国する際、紀小弓の喪に服すために角国（周防国都濃郡）に留まったことから、角臣の姓を与えられたと伝えられています。更に、天武天皇の治世下での684年には、八色の姓の制定に伴い、角臣氏は臣姓から朝臣姓に改名されています。このように、角家主は王朝の血統に繋がる貴族として認知されていました。

彼と同時期に新羅に派遣された都努牛飼も角氏の一員であり、同じく新羅との国交に関与していました。

経歴

元正天皇の時代末期、養老7年（723年）には従五位下に叙任され、この時期には他の役職者も同様に昇進していました。特に土師豊麻呂が従五位上に昇叙されたのもこの時期です。

聖武天皇の治世に入ると、天平4年（732年）に家主は第19次の遣新羅使に任命されました。その目的は、神亀3年（726年）以来途絶えていた新羅との交流を再開し、入貢を促すことにありました。しかし、派遣の2日後には新羅の使者である金長孫が日本に来朝し、聖武天皇に謁見することとなりました。この時期、新羅は3年ごとに使者を派遣することが詔令されたため、家主たちの遣新羅使任命も無駄にはならなかったのです。

その後、家主たちは新羅への渡航を果たし、無事に帰国を果たしました。翌年の天平5年（733年）には、諸陵頭に任命されています。彼の官歴は、当時の日本における外交活動の一端を示しており、貴族社会の動向を感じさせるものです。

官歴

角家主の官歴は、『続日本紀』などの記録に基づいています。

• - 時期不詳：正六位上
• - 養老7年（723年） 1月10日：従五位下
• - 天平4年（732年） 1月20日：遣新羅使
• - 天平5年（733年） 12月26日：諸陵頭

本記事では、角家主の出自や経歴を通じて、奈良時代の貴族社会や外交事情について考察しました。歴史の中で彼が果たした役割は、当時の国際関係を理解するための貴重な手がかりとなります。

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