角田竹冷

角田竹冷（つのだ ちくれい）は、1857年（安政4年）に駿河国加島（現在の静岡県富士市）で生まれ、1919年（大正8年）に64歳で没した、明治・大正期の俳人であり、政治家です。本名を真平（しんぺい）といいました。

生涯

角田竹冷は、農業を営む角田彦右衛門の次男として誕生しました。1874年（明治7年）に上京し、法律を学び、1880年（明治13年）には代言人（現在の弁護士）の資格を取得しました。その後、政治の世界にも進出し、東京府会議員、同副議長、神田区会議員、同議長、牛込区会議員、東京市会議員、同参事会員、東京市臨時市区改正局長兼水道局長など、数々の公職を歴任しました。

弁護士としては、1883年から1895年にかけて法廷で争われた相馬事件において、錦織剛清側の弁護士として活躍しました。また、実業家としても、跡見女学校の理事、秀英舎、中央窯業、帝国劇場、東京株式取引所の取締役を務めるなど、多方面で才能を発揮しました。

1892年（明治25年）には衆議院議員に初当選し、その後、合計7回当選を果たしました。俳人としては、1895年（明治28年）に尾崎紅葉、巖谷小波、森無黄、大野洒竹らと共に、正岡子規が提唱した新派の俳句結社である秋声会の創設に携わりました。

1896年（明治29年）には、『萬朝報』に「代議士角田眞平の強姦姦通事件」という記事が連載され、これが原因で衆議院議員を辞職することになりました。しかし、1899年には府会議員、1901年には衆議院議員に復帰するなど、政治家としての活動も継続しました。

1919年（大正8年）に脳溢血のため死去。享年64歳。墓所は麟祥院にあります。没後、俳人としての業績をまとめた句集『竹冷句鈔』が編纂されました。

俳人としての活動

角田竹冷は、俳句の世界では正岡子規と並び称される存在でした。新派の俳句運動である秋声会の創設メンバーの一人であり、その俳句は写実的でありながらも、自然の情景を鮮やかに切り取るものでした。代表的な句としては、「草餅や二つ並べて東山」「水はりて春を田に見る日ざし哉」「傘さして小舟出しけり春の海」などが知られています。

古俳諧の収集家として

角田竹冷は、古俳諧の収集家としても知られていました。その蔵書は、膨大な量にのぼり、現在では東京大学総合図書館に「竹冷文庫」として収蔵されています。この文庫は、俳諧史研究において貴重な資料となっています。

親族

角田竹冷の子息には俳人の角田竹涼がいます。また、息女の萬代は、第一銀行頭取である石井健吾の弟である孝の妻となりました。

結論

角田竹冷は、弁護士、政治家、俳人、収集家と多岐にわたる分野で活躍した人物でした。その業績は、日本の近代史、俳諧史において重要な位置を占めています。

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