諏訪孝二

諏訪孝二（すわ こうじ）は、1929年11月9日に東京府北豊島郡日暮里町（現在の東京都荒川区）で生まれ、2015年5月8日に亡くなった日本の俳優、声優です。早稲田大学政治経済学部を中退しています。

経歴

諏訪は、劇団薔薇座、劇団東芸、グループりんどう、同人舎プロダクション、河の会、テアトル・エコーなど、数々の劇団に所属し、演劇の世界でキャリアをスタートさせました。日暮里町の老舗「羽二重団子」の店主の次男として生まれ、作家の吉村昭とは幼馴染で、東京初空襲の際に米軍機を目撃したという共通の経験を持っています。当初は海軍機だと思っていたものの、戦後の調査で、その機体がドーリットル隊のB-25爆撃機であったことを特定しました。

早稲田大学在学中には、作曲家で後に参議院議員となるいずみたく（今泉隆雄）と演劇活動を共にしていました。1959年10月には、俳優・佐田豊の妻が経営する美容院で働く美容師、坂田光代と結婚。佐田夫妻が仲人を務め、埼玉県蕨市に新居を構え、美容院「チャーム」を開業しました。一男一女を授かっています。1966年、長男の入学予定だった新設校が、高圧線下に開校されることを知ると、反対運動に参加。マスコミへの働きかけを行い、テレビ番組「アフタヌーンショー」で「カラスも止まらぬ高圧線」として報道されました。1968年4月には、埼玉県草加市に転居し、俳優の杉田俊也、松村彦次郎らと「まつばら団地祭」の企画に参加しました。また、草加市立栄小学校のPTA会長を1期務めています。1970年には、東京外郭環状道路の事業化に伴い、沿道の土地収用、排気ガス、騒音問題に対する住民運動にも参加し、立て看板やビラの作成、陳情書の提出などを行いました。

1971年、テレビドラマ「プレイガール」のロケ中に崖から飛び降りる際に左膝下を負傷し、陥没骨折という大怪我を負いました。1973年7月28日には、外国映画の吹き替えの再放送に対する著作権法の適用を求めた声優デモに、徹夜で看板を作成して参加。この出来事を機に、芸団協（日本芸能実演家団体協議会）に所属し、久松保夫、大宮悌二らと共に、著作権問題だけでなく、芸能人年金設立や入場税撤廃などの活動に尽力しました。その後、声帯ポリープを患い、俳優業を引退。一時、竹田人形座の一員として全国巡業に参加。その後は、寺の事務長などを務めました。趣味の絵画では、戦争の悲惨さを後世に伝えるため、自身の体験を元に東京初空襲や東京大空襲などの戦争画を荒川区に寄贈しました。

2005年7月30日には、荒川区の招待で、幼馴染の作家・吉村昭と「東京初空襲を語る」という対談を行いました。吉村昭が自ら命を絶ったのは、この対談からちょうど1年後の2006年7月30日夜でした。2008年7月には、吉村昭の三回忌追善事業が開催され、諏訪は吉村との幼い頃の思い出と、空襲時の短編を朗読しました。2014年12月、自転車運転中に転倒し頭部を打撲し、病院へ救急搬送。退院が決まり、老人施設に入所する予定の前日深夜、誤嚥性肺炎により急逝。献体のため、日本医科大学に搬送されました。

出演作品

映画

蟹工船（1953年）
アナタハン島の眞相はこれだ!!（1953年）
続春山彦（1954年）

テレビドラマ

事件記者（1958年）
裁判（1959年）
恐怖の扉（1959年）
ヒューマンオムニバスドラマ この空の下に（1960年）
お笑い節ドラ 悲恋おかめ踊り（1960年）
これが真実だ（1960年）
ナショナル劇場 赤いドレス（1960年）
愛の疑惑（1961年）
東芝土曜劇場 愛の疑惑（1961年）
伊賀の影丸（1963 - 1964年）
江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎（1970年）
プレイガール（1970-1971年）

テレビアニメ

鉄腕アトム（1963年）
怪盗プライド（1965年）
ジャングル大帝（1965年）
ジャングル大帝 進めレオ!（1966年）
黄金バット（1967年）
巨人の星（1969年）
そばかすプッチー（1969年）
昆虫物語 みなしごハッチ（1970年）
アニメンタリー決断（1971年）
科学忍者隊ガッチャマン（1972年）

吹き替え

数多くの海外映画、ドラマ、アニメの吹き替えを担当。

麗しのサブリナ
SOSタイタニック
黄金の賞品
恐怖のワニ人間
史上最大の作戦
ララミーから来た男
奥さまは魔女
スパイ大作戦
逃亡者
陽気なライリー
スカイホーク
サンダーバード

ラジオドラマ

クイズ午後三時 名作クイズ（1959年）
プリンススリラー劇場 二人の老人（1958年）
R1浪曲ドラマシリーズ（1961-1963年）

諏訪孝二は、俳優、声優としての活動だけでなく、社会運動や戦争体験の語り継ぎにも尽力した人物でした。

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