諸井誠

諸井誠について

諸井誠（もろい まこと、1930年12月17日 - 2013年9月2日）は、日本を代表する作曲家および音楽評論家でした。東京都に生まれた彼は、名門の家系に生まれ育ち、音楽とビジネスという異なる分野での影響力を持ち合わせていました。彼の父は著名な作曲家の諸井三郎、そして祖父は秩父セメントの創立者である諸井恒平と、家族全体が日本の音楽と産業において重要な役割を果たしました。兄の諸井虔も、この会社の社長・会長として名を馳せています。

彼はまた、作曲家や指揮者の尾高尚忠・惇忠・忠明一家とも親戚関係にあり、音楽家の血筋を受け継いでいます。二十世紀音楽研究所に参加し、早い段階から十二音技法やミュジーク・コンクレートなどの革新的な音楽技術を日本に導入しました。

経歴

東京音楽学校の本科作曲科を1952年に卒業し、池内友次郎の指導を受けました。この頃から彼の音楽活動は本格化し、第21回音楽コンクールでは入賞を果たしました。次の年、1953年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールにおいても入賞を果たし、その名は広がり始めました。以降も、ISCM国際音楽祭において数回にわたり受賞し、1964年には第12回尾高賞を受賞するなど、類まれな才能を発揮しました。

1995年には紫綬褒章を受章し、音楽界への貢献が評価されましたが、2013年に間質性肺炎で82歳の生涯を閉じました。彼の墓は鎌倉市の円覚寺白雲庵にあります。

主要作品

諸井誠の音楽には、様々なジャンルや形式がありました。特に彼の作品の中で特筆すべきは、無伴奏フルートのためのパルティータ（1953）、ピアノのためのαとβ（1954）、さらには協奏交響曲第1番〈偶対〉（1973）や第2番〈交感〉（1974）などがあります。これらの作品は、彼の斬新な音楽理念と技術を示す証拠となっています。

著書

音楽評論家としても高い評価を受け、数多くの著書を刊行しました。代表的な著作には『これがクラシックだ 音楽入門決定版』（1977年）、『音楽の見える時 諸井誠音楽論集』（1981年）や『私のベートーヴェン・フリーズ 自分史の中のベートーヴェン』（2007年）があります。彼の著作は、音楽に対する深い造詣と独自の観点を提供し、多くの読者に影響を与えました。

メディアでの活動

諸井はまた、テレビ番組においても活動しており、特に「全日本歌謡選手権」では審査員としての役割を果たしました。彼の卓越した知識と経験が、多くの視聴者に音楽の魅力を伝えました。

影響と遺産

彼の音楽への情熱と貢献は、今もなお多くの音楽家や評論家に受け継がれています。音楽界への影響は計り知れず、後世にわたって彼の作品は愛され続けることでしょう。諸井誠の業績を振り返ることで、音楽の力とその多様性を再認識することができます。

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