諸県郡

諸県郡（もろかたぐん）とは

諸県郡は、かつて宮崎県（旧日向国）と鹿児島県（旧大隅国の一部）に存在した郡です。その領域は、現在の宮崎市の一部、都城市、小林市、えびの市、北諸県[[郡]]、西諸県[[郡]]の全域、東諸県[[郡]]の大部分、鹿児島県の志布志市、曽於郡大崎町全域、曽於市の一部に相当します。

古代

「諸県」という名称は、記紀に登場する「諸県君」に由来するとされています。『古事記』や『日本書紀』には、諸県君の女性が美しかったという記述や、天皇に食事を献じたという記述が見られます。このことから、諸県郡は非常に古い歴史を持つことがうかがえます。郡名の起源となった「諸県」は、現在の東諸県[[郡]]国富町周辺に存在したとされ、諸県君の本拠地であったと考えられています。

しかし、当時のこの地域はヤマト王権の影響力が及んでいない地域も多く、諸県地方が諸県君の主領域と一致したかは定かではありません。郡名が明確に確認できるのは「続日本紀」からで、「延喜式」によって領域がほぼ確定しました。また、「和名類聚抄」では「牟良加多（むらかた）」と訓じられており、郡には県田郷、八代郷、瓜生郷、財部郷、大田郷、春野郷、穆佐郷、山鹿郷の八つの郷がありました。

中世・近世

中世になると、現在の国富町・綾町を除いた地域に島津荘が開かれ、江戸時代まで領域の大きな変動はありませんでした。1587年の豊臣秀吉による九州征伐後、島津氏は薩摩・大隅に加え、この諸県郡も安堵されました。

明治時代以降

明治時代初期には、幕府領や旗本領、藩領が複雑に入り組んでいました。1868年には、幕府領が富高県、次いで日田県の管轄となり、その後、延岡藩領となりました。廃藩置県を経て、1871年には鹿児島県と延岡県の管轄となりますが、その後の府県統合で、大淀川以北が美々津県、残りが都城県の管轄となりました。その後、美々津県の一部が都城県に移管され、最終的に1873年には全域が宮崎県（第1次）の管轄となります。

しかし、1876年の第2次府県統合で、鹿児島県の管轄に戻りました。1879年に郡区町村編制法が施行され、行政区画としての諸県郡が発足し、郡役所が都城に設置されました。しかし、1883年に宮崎県が再び設置されると、諸県郡は宮崎県側の区域が北諸県[[郡]]、鹿児島県側の区域が南諸県[[郡]]として分割され、諸県郡は廃止されました。

郡の変遷

諸県郡の所属町村の変遷については、北諸県[[郡]]、東諸県[[郡]]、西諸県[[郡]]、南諸県[[郡]]、東囎唹郡の各項目を参照してください。

明治初期の支配状況は複雑で、薩摩鹿児島藩、幕府領、旗本領、日向高鍋藩などが混在していました。

郡域

当時の郡域は、現在の以下の地域にあたります。

宮崎県宮崎市の一部（吉野、糸原、有田、高岡町各町および田野町乙の一部）
宮崎県都城市、小林市、えびの市、北諸県[[郡]]、西諸県[[郡]]の全域
宮崎県東諸県[[郡]]の大部分（国富町宮王丸を除く全域）
鹿児島県志布志市、曽於郡大崎町の全域
鹿児島県曽於市の一部（大隅町月野、大隅町境木町、大隅町荒谷）

式内社

『延喜式』神名帳には、郡内の式内社が記載されています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 45 宮崎県』、角川書店、1986年
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』、角川書店、1983年
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧
東諸県[[郡]]
西諸県[[郡]]
諸県弁

諸県郡は、その歴史の中で、宮崎県と鹿児島県に分かれ、消滅した郡です。しかし、その名は、現代の地名や文化の中に息づいています。

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