貞保親王

貞保親王について

貞保親王（さだやすしんのう）は、平安時代前期から中期にかけて活躍した皇族で、清和天皇の第四皇子として知られています。彼は陽成天皇の同母弟であり、貞保の名前は歴史の中で特異な存在を確立しました。今回は、彼の経歴や人物像、また音楽の面での業績について詳しく見ていきます。

経歴と官歴

貞観15年（873年）に親王宣下を受け、その数年後、元慶2年（878年）には飛香舎にて蒙求の講読を始めます。その際の侍読は橘広相が担当しました。元慶6年（882年）には兄・陽成天皇と共に元服し、三品に叙せられて上野太守に任命されました。

しかし、元慶8年（884年）に陽成天皇が廃位された際、貞保は即位する立場にあったものの、伯父である関白・藤原基経が身内の干渉を避けたため、貞保の即位は叶いませんでした。宇多朝の寛平3年（891年）には母の藤原高子の五十賀で屏風を献上し、その後も中務卿、式部卿、兵部卿などの要職を歴任し、最終的に二品に至りました。その後、延長2年（924年）6月19日に55歳で薨去しました。

音楽の才能

貞保親王は音楽に非常に長けた才能を持ち、笛の演奏においては特に名人とされました。彼は古部春近や戸部吉延から笛の技術を学び、さらには父である清和天皇から琵琶の技術を受け継ぎました。彼の笛の腕前は「天下無比」と称され、様々な楽器にも精通していました。

また、彼は定期的に笛の伝授を行い、延喜11年（911年）から延喜20年（920年）にかけては勅命を受けて音楽教育に力を注いでいました。著名な楽譜、『新撰横笛譜』や『南宮琵琶譜』を作成し、これらは後世においても重要な資料とされています。さらに、長らく絶えていた名曲『王昭君』を復活させ、その譜を椒笛の譜に移すなど、音楽界に多大な影響を与えました。

人物の魅力

貞保親王はその外見の美しさでも知られており、多くの女性に魅了されたと伝えられています。彼の美貌に心惹かれた女性たちは、彼への思いを袖に蛍を包むことで表現したとも言われています。彼の存在は、ただの皇族の枠を越え、平安時代の文化と芸術に深く関与していたことが分かります。

家族構成

貞保親王は父に清和天皇、母に藤原高子を持ち、妻は嵯峨天皇の子である惟康親王の娘です。子どもには目宮王がいて、彼の子孫は滋野氏との系図が残っています。その他、生母不明の子として源国忠、源国珍、源基渕などがいますが、彼らの子孫については明確な記録がありません。

結論

貞保親王は、平安時代における重要な人物であり、文化、音楽において多大な影響を与えた存在と言えます。彼の芸術的な才能と人間的な魅力は、今なお多くの人々に語り継がれるべき価値があります。

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