費瓛

費瓛（ひ けん）

費瓛（生年不詳 - 1428年）は、明代初期に活躍した武将です。本貫は濠州定遠県で、燕山中護衛指揮使であった費粛の子として生まれました。

生涯

費瓛は、建文年間に燕王朱棣が挙兵した靖難の変において、その軍に従い功績を挙げました。この功績により、1407年（永楽5年）には山海衛都指揮同知から後軍都督僉事に昇進しました。

1408年（永楽6年）には、李彬が総兵官として倭寇討伐の任に就くと、費瓛はその副官として従軍しました。

1410年（永楽8年）春、涼州衛千戸の虎保と永昌衛千戸の亦令真巴らが反乱を起こし、数千の兵を率いて駅路を占拠しました。この反乱には、明に帰順したばかりのバヤン・テムルらも呼応しました。都指揮の李智が反乱軍を討伐しましたが、鎮圧に失敗。そこで、費瓛は皇太子朱高熾の命を受け、反乱鎮圧のため出陣することになりました。費瓛は涼州に到着後、李智や都指揮の陳懐の軍と合流し、鎮番へと進軍しました。双城で反乱軍と遭遇すると、費瓛は左翼を、陳懐らは右翼を攻撃し、反乱軍を敗走させ、300人余りを斬首しました。さらに、黒魚海まで追撃し、1000人余りを捕虜とし、12万頭の家畜を鹵獲する戦果を挙げました。虎保らが遠方へ逃亡したため、費瓛は軍を帰還させました。

1414年（永楽12年）2月、費瓛は永楽帝（朱棣）の漠北遠征に従軍し、右哨を率いる李彬を補佐しました。同年9月には総兵官に任命され、甘粛に駐屯することになりました。費瓛は、粛州の兵士が多く食糧が不足している状況を改善するため、徴発や一時的な措置に頼らず、兵士を動員して租税の食糧を運搬する体制を強化することを提案しました。1420年（永楽18年）閏1月には、涼州に休耕地が多いことから、軍を派遣して屯田を行うことを提案し、これが採用されました。

1425年（洪熙元年）2月、費瓛は平羌将軍の印を受けました。永楽年間には、宦官が地方に派遣され軍務を専断することが多く、費瓛も掣肘を受けることが度々ありました。洪熙帝（朱高熾）は、このことを知ると、費瓛の不甲斐なさを叱責する璽書を賜りました。費瓛は璽書を拝受し、陳謝しました。

同年10月、費瓛は右府左都督に進みました。1426年（宣徳元年）7月に入朝し、同年8月には崇信伯に封じられました。漢王朱高煦の乱討伐に従軍し、流河駅に宿営しました。宣徳帝は先鋒の薛禄の兵が少ないことを懸念し、費瓛に兵を率いて薛禄に加勢するよう命じました。凱旋後、費瓛は世券を与えられ、再び甘粛に駐屯しました。

1427年（宣徳2年）、沙州衛の反乱軍がしばしばサマルカンドやイリバリクの朝貢使を襲撃し、略奪を働いていたため、費瓛は反乱軍を撃破しました。1428年（宣徳3年）2月、費瓛は甘粛で死去しました。

費瓛の死後、子の費釗が崇信伯の爵位を継承しました。


費瓛は、明代初期の混乱期において、軍事面で重要な役割を果たした武将であり、その功績は後世に語り継がれています。特に、各地の反乱鎮圧や遠征での活躍、甘粛における守備体制の強化、屯田制の導入など、彼の功績は多岐にわたります。

脚注

『明史』巻155 列伝第43

参考文献

『明史』巻155 列伝第43

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