輝昇勝彦

輝昇 勝彦（てるのぼり かつひこ）



基本情報



来歴


輝昇勝彦は、官吏の家庭に次男として生まれ、幼少期から相撲大会でその圧倒的な力が評判となりました。彼は1937年に高島部屋に入門し、15歳で初土俵を踏みます。体格に恵まれていなかったものの、1日3000回の鉄砲稽古に励み、その結果、突き押し相撲が彼の武器となりました。序二段と三段目で優勝を果たし、1941年には新十両に昇進します。

十両昇進後も彼の突き押し相撲は進化を続け、1941年5月の場所では14勝1敗で十両優勝を果たしました。これにより、1942年1月場所での新入幕が決定的になり、初の入幕場所では12勝3敗という成績を収め、優勝旗手としての役割を果たします。また、戦後も数々の実績を残し、特に1947年11月場所では小結として7勝4敗で敢闘賞を受賞しました。この頃、彼の相撲はさらに注目を浴び、多くのファンを魅了しました。

ただ、彼のキャリアは順風満帆ではなかったのです。1944年に応召し、その後の復帰では思うような成績が残せず、1945年の場所では苦戦を強いられました。戦後は一時期復調を見せるも、1948年に怪我を負い、そこからは低迷を続けました。さらに、糖尿病の影響も加わり、相撲の内容は精彩を欠くようになり、最終的には1956年に現役を引退しました。

引退後の生活


引退後、輝昇は日本相撲協会に残らずプロレス転向を試みましたが、怪我により試合出場を果たせず、その後はTBSテレビで相撲解説者として活動しました。しかし、解説は力士の精神論に偏り、すぐに降板しました。降板後は東京都板橋区で雑貨店を経営しながら、静かな日常を送ることになりました。残念ながら、1967年に病に倒れ、早すぎる死を迎えました。

人物とエピソード


輝昇は、兄が幕下、弟が序二段という相撲一家に生まれましたが、彼だけが関取となりました。現役中は、その爽やかな弁舌とともに、力士会の会長である東富士欽壹を助けて日本相撲協会の待遇改善に努めました。また、彼の容姿は俳優の片岡千恵蔵によく似ており、その親交も深かったようです。映画『土俵祭』においては、相撲の所作指導を行ったこともありました。

興味深い逸話として、彼の厳しい指導が挙げられます。一度、付け人が彼の褌にアイロンをかけるよう命じられましたが、道具が無かったため、炭火で乾かした結果、褌に穴が開いてしまいました。激怒した輝昇は付け人を叱責しましたが、彼の言葉は逆に周囲の者たちを活気づけました。このような経験を通じて、輝昇は人を育てる力を持っていたことがわかります。彼は、怪我や病気に苦しみながらも、「逆境に屈するなかれ」との標語を掲げ、常に活力を失わずに前進し続けました。

主な成績・記録


通算成績: 289勝270敗50休 勝率: .517
幕内成績: 223勝225敗33休 勝率: .498
現役在位: 49場所
幕内在位: 35場所
三役在位: 6場所（小結：4、関脇：2）
三賞: 2回
敢闘賞: 2回（1947年11月場所、1952年1月場所）
優勝旗手: 2回
金星: 1個（照國）

また、彼は各段優勝も果たしています：

輝昇勝彦の人生は、相撲界での栄光と苦難が交差するものでした。彼の軌跡は多くの力士たちにとって、今なお励みとなる存在です。

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