近鉄2000系電車

近鉄2000系電車は、近畿日本鉄道（近鉄）が保有する通勤形電車です。本記事では、2000系を改造した観光列車である2013系「つどい」についても解説します。

2000系

1978年から1979年にかけて、名古屋線に残っていた旧型車両の置き換え用として3両編成12本が製造されました。車体は2800系に準じた冷房車ですが、主電動機と一部台車は、廃車となった10100系「ビスタII世」から流用されました。

車両概要

制御方式: 1C8M制御
MT比: 2M1T（3両編成）
製造時期: 1978年3月～1979年9月
電算記号: XT（XT01 - XT12）

当初から冷房装置を搭載しており、車体は同時期に製造された2800系2815F以降と同一です。過去には、参急デニ2000形（1930年製）と大阪線用20m3扉車（1948年製）という形式番号が存在し、本系列は3代目となります。

当時の近鉄では、前面ガラスの曇り止めに枠付きのデフロスタを使用していましたが、本系列では熱線入り合わせガラスを採用しました。側面には当初から列車種別表示機が搭載され、後に方向幕に交換されています。

主要機器

主電動機: 10100系廃車発生品（出力増強：125kW→132kW）
主制御器: 日立製作所MMC-HTB-20E型（1C8M制御）
集電装置: モ2000形奇数車に2基搭載（1979年増備車は下枠交差形に変更）
空気圧縮機: ク2100形に搭載
電動発電機: モ2000形奇数車に搭載（出力120kVA）
台車: 近畿車輛製空気ばね台車（流用品・新造品）

性能面や制動方式は2470系や2680系と同一であり、全車名古屋線用として製造されましたが、大阪線での運用も考慮して抑速ブレーキを備えています。一部編成は、大阪線所属の3両編成形式の冷房改造による車両不足の代走として、大阪線で運用されたこともあります。

改造

1987年: 2013Fにク2100形のトイレ設置（貯蔵タンク式）
1996年 - 1999年: 全編成に車体側面の方向幕設置を中心とする車体更新
2005F - 2011F・2015F - 2023F: 乗務員室仕切り窓の小型化および仕切り扉のガラス交換を中心とするワンマン運転対応改造
2003年: 2005F - 2023Fにク2100形の台車交換
2007年: 2021F・2023Fにワンマン表示器の追設を中心とするワンマン機器統一工事
2007年 - 2013年: 全編成に車体連結部の転落防止幌設置
2013年: 2013Fが観光列車「つどい」に改造され、形式も2013系に変更
2014年 - 2019年: 2005F - 2011F・2015F - 2023Fに2回目の車体更新（B更新）。ク2100形連結側車端部の車椅子スペース設置、内装デザイン変更

廃車

大阪線向け2430系3両編成車の転属で置き換える形で2024年5月に2003F、6月に2001Fが廃車されました。2024年7月1日現在、2001F・2003F以外に廃車された車両はなく、2005F - 2011F・2015F - 2023Fの27両が富吉検車区に配置されています。

アートライナー

過去には、以下の編成がアートライナーとして運行されていました。

2023F：名泗コンサルタント（2020年1月 - 2023年6月）
2005F：シー・ティー・ワイ（2018年11月 - 2022年5月）
2007F：シー・ティー・ワイ（2015年8月 - 2018年12月）
2015F：名泗コンサルタント（2008年8月 - 2012年5月）
2017F：名泗コンサルタント（2005年6月 - 2008年8月）
2021F：シー・ティー・ワイ（2008年6月 - 2011年10月、2011年12月 - 運行終了）
2023F：シー・ティー・ワイ（2005年4月 - 2008年5月）

2013系「つどい」

2000系のうち、2013Fを改造した観光列車です。2013年に改造され、形式も2013系に変更されました。性能や機器類は2000系から変更ありませんが、内外装は観光列車として大幅に改装されました。

車両概要

編成: ク2107 (Tc) - モ2013 (M) - モ2014 (Mc)
電算記号: XT07
配置検車区: 明星検車区（2019年4月1日現在）

2013年の伊勢神宮式年遷宮に合わせて、2013年10月5日から営業運転を開始しました。複数回の運行期間延長を経て、2017年8月27日まで伊勢志摩地区で運用されました。その後、2018年の湯の山温泉開湯1300年に合わせた観光列車としてリニューアルされ、同年7月から湯の山線方面で運転されています。

改造までの経緯

近鉄では、観光輸送に特化した特別仕様車両として、15400系「かぎろひ」や50000系「しまかぜ」などを保有しています。2013年10月の第62回伊勢神宮式年遷宮に合わせ、50000系の新造投入や23000系のリニューアルが行われましたが、これと並行して、伊勢市駅 - 賢島駅間で専用列車を運行する計画が持ち上がり、2012年末に開発プロジェクトがスタートしました。

開発コンセプト

明るく楽しい雰囲気の列車
伊勢志摩地域の見どころを紹介する列車

賑やかで楽しい多彩な車両空間に人が集まり、賑やかに楽しんでもらうというコンセプトから、愛称は「つどい」に決定しました。

車両選定

以下の仕様を満たす車両として、3両編成で唯一ク2100形にトイレが設置された2000系2013Fが選定されました。

標準軌全線を走行可能な車両性能
定員88名（団体バス2台分相当）
テーブル付き座席
バーカウンター
イベントスペース
オープンスペース
トイレ付き車両

車体外観

乗降扉を8箇所から2箇所に減らし、撤去した部分には固定窓を新設しました。方向幕は全て撤去されています。車体連結部には転落防止幌を装備しています。

車体塗装はシルキーホワイトを基調とし、伊勢神宮や海の幸など、伊勢・鳥羽・志摩の魅力をイラストで表現しています。

車内設備

内装: 天井はオレンジとグリーン、側壁は木目調、床面は伊勢エビやフグなどをモチーフとしたカラフルなカーペット
座席: 窓向きにテーブル付きで配置（1号車24席、2号車8席、3号車48席）

各車両には、以下のような特徴的な設備があります。

ク2107: 「風のあそびば」と名付けられたフリースペース、カラフルな座席、海中をイメージしたトイレ
モ2013: バーカウンター、イベントスペース、車椅子スペース
モ2014: 「こども運転台」（1810系廃車車両のマスコンと制動弁を流用）

リニューアル

2018年と2024年にリニューアルが行われました。2018年のリニューアルでは、ブラウンとクリームのツートンカラーに車体塗装を変更し、内装も一部変更されました。2024年のリニューアルでは、「イエローグリーン」をメインカラーに変更し、よりポップなデザインとなっています。

運用

2000系は名古屋線の準急・普通列車を中心に運用されています。2013系「つどい」は、土休日に伊勢市駅 - 賢島駅間や近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅間で運転されています。過去には、団体貸切列車や臨時列車としても運用されました。

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