通度寺

通度寺（つうどじ、トンドサ）

通度寺は、韓国の慶尚南道梁山市に位置し、霊鷲山の南麓にある曹渓宗の主要な寺院です。韓国仏教の最大宗派である曹渓宗の第15教区本寺として、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。特に、三宝寺院や五大叢林として知られ、修行道場としての地位が確立されています。寺院では開山大祭や華厳山林法会、さらにはテンプルステイなどの様々な活動が行われています。

2018年6月30日、通度寺はユネスコの世界文化遺産に登録され、その価値が国際的に認められました。

沿革

通度寺の設立は、新羅の僧である慈蔵が唐での仏法修行を終えた後の646年に遡ります。彼は善徳女王の命を受けて帰国し、仏舎利や袈裟を持ち帰りました。開山当初は南山宗に属し、仏舎利が納められていたため「仏宝寺刹」とも称されました。特筆すべきは、本堂には仏像が納められていない点で、仏舎利を安置した戒壇を拝むスタイルとなっています。

李氏朝鮮時代には仏教が抑圧された時期もありましたが、通度寺は1407年に存続が許された88寺院の一つとして名前が残ります。世宗朝時代の1524年の仏教弾圧により一度廃寺となり、その後数度の復興を経ました。

日本統治時代には1911年に朝鮮三十本山に指定され、寺院の地位が強調されました。

境内の構成

通度寺の伽藍配置は東へ傾斜した地形に応じており、下炉殿、中炉殿、上炉殿の三つのエリアで構成されています。

下炉殿

• - 叢林門：仏の世界への入口。中央の柱が一直線に並び、興宣大院君の手書きの額が掛かっています。
• - 天王門：寺院を守護する木製の四天王像が安置されています。
• - 霊山殿：内には釈迦牟尼仏や釈迦如来の生涯を描いた八相図が拝まれています。
• - 極楽寶殿：阿弥陀仏とその脇侍の菩薩が奉安されています。

中炉殿

• - 不二門：対立を超えた平等を意味し、一本の斧だけで建てられたとの伝説があります。
• - 華厳殿：観世音菩薩が奉安され、慈悲のシンボルとされています。

上炉殿

• - 大雄殿：文禄・慶長の役で焼失後、1645年に再建され、金剛戒壇が後方に位置します。
• - 金剛戒壇仏舎利塔：慈蔵が持ち帰った釈迦の舎利が安置され、通度寺の重要なシンボルです。

文化財

通度寺は高麗時代に造られた多くの石造物を所蔵しており、国宝にも指定された大雄殿や金剛戒壇といった重要な文化財が存在します。通度寺聖宝博物館では約3万点の文化財が展示されており、仏教絵画専門のギャラリーも開設されています。

アクセス

釜山都市鉄道1号線の老圃駅が最寄りで、駅からのバスで通度寺まで還ることができます。徒歩約10分で寺院の山門に到達します。

年中行事

通度寺では、旧暦に基づいたさまざまな祭りやイベントが開催され、地域の文化を引き継いでいます。特に菩薩受戒山林や釈迦生誕日の奉祝文化祝祭は毎年の大イベントです。

もう一度検索