達奚震

達奚震の生涯と業績

達奚震（たつけい しん、生没年不詳）は、中国の北周における優れた軍人であり、字は猛略である。彼の出身は代郡にあり、達奚武の子として生まれた。彼の生涯は、戦略家としての才能と勇気に満ちており、数々の戦歴によって名を馳せた人物である。

軍歴の始まり

達奚震は535年に員外散騎常侍としてそのキャリアをスタートさせた。彼の名が広まるきっかけとなったのは、宇文泰が渭北での狩猟時に起きた事件である。その際、達奚震は他の将軍たちと共にウサギを射止めようと競った。馬から落馬するという危機的な状況に直面しながらも、彼は巧みに馬を戻しつつ一発でウサギを射抜くという驚異的な技術を見せつけた。この出来事に感嘆した宇文泰は、達奚震の父である達奚武に100段の雑絹を贈るほどだった。

出世街道

550年には昌邑県公に封じられ、その後も撫軍将軍や通直散騎常侍など、さまざまな地位に昇進していく。557年、明帝が即位すると、儀同・司右中大夫に任命され、さらに驃騎大将軍・開府儀同三司などの名誉をも得た。その後、普寧県公に改封され、559年には広平郡公に昇進し、華州刺史にも任命された。

勇敢な戦闘

564年に行われた東征に従軍した際、ほかの将軍が敗退する中、達奚震は北斉軍との戦闘に身を投じ、自軍を守り抜いて無事に帰還した。この正義感と戦闘能力は彼の評判を高め、その後も566年には大将軍に昇進し、兵を率いて稽胡を攻撃し見事撃破した。

さらなる高み

571年には柱国の位を受け、572年には鄭国公の爵位を継承。その後、575年には武帝に従って東征し、前線の統括を任される。また、576年には歩兵と騎兵を合わせて1万人を率いて統軍川を守り、義寧や烏蘇の二鎮を攻略するなど華々しい戦歴を持つ。

ここの集大成ともいえる577年の鄴の平定においても、彼は多くの戦利品を獲得し、大宗伯に任命されることになる。これは父の達奚武も同じ職に仕込んでいたこともあり、彼の出世を示す象徴的な出来事であった。578年、原州総管として出向し三州二鎮の軍事を兼任したものの、すぐに辞任し長安に帰還。このように、彼の軍歴はまさに波乱万丈であった。

晩年と死

隋の開皇元年の頃、達奚震は家にて静かに生を終えた。彼の後半生は、戦闘から離れた静謐な日々であったのかもしれないが、達奚震が北周において果たした軍人としての役割は、当時の状況において非常に重要なものであった。彼の生涯に関する記録は『周書』や『北史』に記載されており、歴史的資料として今も多くの人々の興味を引いている。

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