郭丹

郭丹（かく たん）

郭丹（紀元前24年 - 62年）は、中国の前漢時代末期から後漢時代初期にかけての政治家で、字は少卿といい、荊州南陽郡穣県（現在の河南省南陽市）の出身です。父の郭稚は成帝の時代に廬江太守を務め、その清廉さで名を知られていました。

生涯

7歳で孤児となった郭丹は、幼いながらも孝行息子として知られていました。その姿に心を打たれた継母は、自分の着物を売って彼の生活を支えたといいます。その後、長安に遊学した郭丹は、常に講義を開き、その学識の高さから儒者たちに敬われました。

新の時代には、大司馬の荘尤（厳尤）から招聘を受けましたが、病気を理由に応じませんでした。さらに、王莽からも招聘を受けましたが、これを避けて北地郡へ逃れました。

更始2年（24年）、更始帝（劉玄）の配下である三公から賢明で有能であると推挙され、諫議大夫に任命されました。符節を授けられて南陽へ赴き、民衆の鎮撫や降伏の受諾を担当しました。

更始政権が滅亡すると、多くの者が光武帝（劉秀）に帰順しましたが、郭丹は平氏（南陽郡）に拠って降伏しようとせず、更始帝のために喪を発し、喪服を着て哀悼の意を示しました。建武2年（26年）に遂に逃亡し、更始帝の妻に符節を返還して帰郷しました。その後、南陽太守の杜詩が郭丹を功曹として招聘しましたが、郷里の長者を代わりに推薦し、杜詩から賞賛されました。

建武13年（37年）、大司馬呉漢の招聘選挙で優秀な成績を収め、并州牧に遷り、穏やかな統治を行ったと評価されました。その後、匈奴中郎将、左馮翊を歴任しました。永平3年（60年）には、李訢の後任として司徒に就任しました。朝廷では廉直公正な人物として知られ、侯覇、杜林、張湛、郭伋らと同等の名声を得ました。しかし、永平4年（61年）に隴西太守鄧融に対する捜査において、有罪とする証拠を発見できなかったため、その責任を問われて罷免されました。

永平5年（62年）、87歳で亡くなりました。郭丹は清廉で家産を蓄えなかったため、一時、子孫は困窮しましたが、後に明帝の引き立てによって、長男の郭宇は常山太守、末子の郭済は趙国相にまで昇進しました。

人物

郭丹は、幼少の頃から孝行息子として知られ、その人柄は多くの人々に感銘を与えました。また、学識にも優れ、儒者たちから尊敬される存在でした。政治家としては、清廉潔白で公正な人物として知られ、その功績は後世にまで語り継がれています。

参考文献

* 『後漢書』列伝17郭丹伝

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