都家かつ江

都家かつ江（みやこや かつえ）

昭和期に日本の大衆芸能界で広く活躍した三味線漫談家、そして女優。本名を利根谷タキ（とねや タキ）といい、都々逸や俗曲を得意としたことから「女三亀松」（おんなみきまつ）の異名で知られました。

生涯とキャリア

1909年3月15日、演芸一座の座長であった都家四郎の娘として、東京府東京市浅草区（現在の東京都台東区）日本堤に生まれます。幼い頃から芸の世界に触れ、1912年には父が主宰する演芸団で早くも初舞台を踏みました。その後も父の知人の一座などで役者として舞台に立ち、「娘手踊り」や「子供手踊り」といった演目を披露し、幼いながらもその才能を発揮しました。

1927年、俳優出身の清川滝三郎と結婚。夫婦で漫才コンビ「都家福丸・香津代」を結成し、新たな芸の道を歩み始めます。しかし、1947年に夫である都家福丸が亡くなると、一人娘が二代目福丸を襲名し、親子漫才へと活動形態を変えました。

親子漫才が振るわなかったことから、1950年にユーモア作家の玉川一郎の助言を得て、親子漫才を解消。芸名を「都家かつ江」と改め、「一人トーキー」と名付けたスタイルでピン芸人としての活動を開始します。三味線を弾きながら世相を斬る漫談や、十八番の都々逸がたちまち評判を呼び、舞台のみならず、映画、テレビ、ラジオといった様々なメディアから声がかかるようになりました。

特に、ラジオ番組『大沢悠里ののんびりワイド』（TBSラジオ）では、パーソナリティの大沢悠里との息の合った掛け合いで人気を博し、番組内の看板コーナー「お色気大賞」では初代の相方を務め、多くのリスナーに親しまれました（後にさこみちよが二代目を担当）。

テレビドラマでは『新五捕物帳』（とよ役）や『3年B組金八先生第1シリーズ』（池内シカ役）など、多くの作品に出演し、個性的な脇役として存在感を示しました。また、多数の映画にも出演しており、その活躍は昭和の芸能界に確かな足跡を残しました。

晩年と没後

1983年9月29日、脳軟化症のため74歳で永眠しました。戒名は「芸照院真徹妙薫大姉」。墓所は東京都文京区向丘にある曹洞宗大智山海蔵寺にあります。都家かつ江が亡くなったその日、彼女が出演していた『大沢悠里ののんびりワイド』も放送を終了しています。

翌1984年、一周忌を迎えるにあたり、海蔵寺の墓所内に「都家かつ江之碑」が建立されました。碑の下には、かつ江が生涯愛用した三味線撥（ばち）が収められています。この撥は、劣化を防ぐために透明なアクリル樹脂のブロックに封入されています。碑の左側面には夫・福丸がかつ江に捧げた句が、右側面には俳優・森繁久彌による献句がそれぞれ刻まれています。

また、碑の隣には、かつて上野・鈴本演芸場の玄関にあった石灯籠が建てられています。この石灯籠は、かつ江の生前に鈴本演芸場が改装された際に撤去されたものを、縁ある品としてかつ江に寄贈されたもので、生前は自宅で大切に所蔵されていました。

主な出演作品

レコード等

談志百席 第一期 第三集 家元の芸人五十選(三) 〜都家かつ江と鯉香〜
都々逸特選 日本橋きみ栄/柳家三亀松/都家かつ江
都家かつ江の男性診断

映画

猫と庄造と二人のをんな (1956)
駅前旅館 (1958)
青べか物語 (1962)
台所太平記 (1963)
3年B組金八先生 (1979-80) - 池内シカ 役

テレビドラマ

コント55号の裏番組をぶっとばせ! (1969-70)
花は花よめ (第1・第2シリーズ) (1970-71)
傷だらけの天使 (1974)
新五捕物帳 (1977-82) - とよ 役

ラジオ

大沢悠里ののんびりワイド (1979-82, 83)
かつ江と悠里の朝風呂問答

関連人物

吾妻ひな子
玉川スミ
内海桂子
二代立花家橘之助

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