酒井忠鄰

酒井忠鄰（さかい ただちか）

酒井忠鄰は、江戸時代中期に安房国勝山藩を治めた第5代藩主です。

生涯

延享4年（1747年）、第4代藩主・酒井忠大の次男として江戸で誕生しました。兄の早世により世子となり、宝暦6年（1756年）に父の死を受けて家督を継ぎました。

宝暦13年（1763年）には将軍・徳川家治に拝謁し、従五位下大和守に叙任されました。明和年間には大坂加番を二度務めましたが、そのための出費が藩財政を圧迫しました。さらに、明和7年（1770年）には旱魃が発生し、百姓による騒動（忍足佐内事件、または勝山藩西領騒動）が起こりました。

忍足佐内事件

この騒動は、金尾谷村の名主である忍足佐内が、年貢の減免や不正を行う役人の罷免を求めて起こしたものです。藩は佐内の要求を受け入れず、逆に佐内を処刑し、家族の家財を没収しました。しかし、百姓側は諦めず、安永元年（1772年）から安永2年（1773年）にかけて老中に直訴しました。その結果、訴えが認められ、不正を行っていた役人らは処罰され、佐内の家族も罪を許されました。

天明元年（1781年）には越前守に転任し、天明2年（1783年）には3度目の大坂加番に任じられました。寛政5年（1793年）に長男の忠和に家督を譲って隠居し、文化6年（1809年）に63歳で亡くなりました。

系譜

父：酒井忠大
正室：酒井忠恭の養女（酒井忠用の娘）
子女
長男：酒井忠和（生母は正室）
娘：土井利豊正室
娘：島津久道室
* 養女：横瀬貞樹室

酒井忠鄰は、藩主として藩政に携わる一方で、領内における百姓一揆という困難にも直面しました。その生涯は、藩主としての責務と、社会情勢の変化に翻弄された時代を反映していると言えるでしょう。

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