野倉

長野県上田市野倉

野倉（のぐら）は、長野県上田市西部に位置する大字（おおあざ）です。豊かな自然と歴史が息づくこの地域は、山々に囲まれた静かな環境が特徴です。

地理

野倉は、上田市西部に位置し、北は山田・手塚、東は前山、西は別所温泉、南は丸子地域に隣接しています。特に目を引くのは、山田・別所温泉との境にそびえる女神岳（標高927.0メートル）の南西麓に位置している点です。この山麓には、新田・伽羅理・湯小路・日向・穴平といった5つの集落が点在しています。標高約700メートルの山間部に位置しており、別所温泉や手塚との間には約200メートルの標高差があります。

南には富士山（標高1,029.6メートル、通称「鹿教湯富士」）がそびえ立ち、その北麓を産川が東へと流れ、沢山池へと注いでいます。この富士山は産川の水源であり、町内の窪尻・大手口がその上流端とされています。また、手塚・前山との境にある沢山池は、塩田平のため池群の重要な水源となっています。

主な地形

山: 女神岳、富士山（鹿教湯富士）
河川: 産川
湖沼: 沢山池（ため池）

歴史

野倉は、かつて小県郡野倉村として存在していました。戦国時代には、甲斐国の武田氏家臣が移住してきたという伝承が残っています。この地は、隠田百姓村として歴史に名を刻んでいます。

1889年（明治22年）の町村制施行により、山田村、野倉村、手塚村、十人村、新町、前山村が合併し、西塩田村が発足しました。この際、野倉は西塩田村の大字野倉となりました。

その後、1956年（昭和31年）には、西塩田村が別所村、東塩田村、中塩田村と合併し、塩田町が誕生しました。野倉は塩田町大字野倉となりました。

1970年（昭和45年）には、塩田町が上田市に編入され、上田市大字野倉となりました。さらに2006年（平成18年）には、旧上田市、真田町、武石村が合併し、現在の上田市が発足。野倉は上田市野倉として現在に至ります。

人口の変遷

2019年（令和元年）8月1日現在の情報によると、野倉の世帯数と人口は以下の通りです。具体的な数値は割愛します。人口の変遷については、今後の変動に注目が必要です。

経済・産業

江戸時代、野倉は上田藩の領地であり、5か所の御林がありました。昭和初期までは養蚕業が盛んでしたが、戦後には水田が増加し、兼業農家が多くなりました。近年では、農業以外の産業も少しずつ発展しています。

交通

野倉を通る主要な道路としては、長野県道177号鹿教湯別所上田線があります。また、古くから松本道が塩田平から松本市方面へと通じています。富士山の東麓には市峠があり、鹿教湯温泉方面へと通じていますが、まだ未整備の状態です。

施設・名所

野倉には、地域住民の交流拠点となる施設や、歴史と文化を伝える名所が数多く存在します。

上田市塩田公民館野倉分館（野倉公民館）: 地域住民の活動拠点として利用されています。
上田市野倉民俗資料館: かつて使用されていた農具などの資料を展示・保存しており、地域の歴史を学ぶことができます。
野倉の夫婦道祖神: 衣冠束帯の男神と十二単衣の女神が仲睦まじく彫られています。縁結び、家庭円満、子宝の御利益があるとされています。
延命水: 夫婦道祖神の近くから湧き出る湧水で、古くから地域の人々に親しまれています。
塩田水上神社: 創建年代は不明ですが、明治時代に諏訪神社、熊野神社、住吉神社を合祀した歴史ある神社です。
デーランボーの足跡: 後沢と豆石にそれぞれ左足と右足の跡が残るとされ、この足跡が山を作ったという伝説が残っています。
赤地蔵: 朱塗りの地蔵菩薩像で、普段は仏籠に安置されていますが、旱魃の際には雨乞いのため産川に運ばれたと伝えられています。

防災

女神岳の南麓は土砂災害警戒区域に指定されており、注意が必要です。また、沢山池の決壊による被害については、今のところ想定されていませんが、今後の対策が求められます。

その他

野倉の郵便番号は「386-1437」です。学区としては、上田市立塩田西小学校、上田市立塩田中学校が指定されています。かつて町内に存在した野倉保育園は、1975年に西塩田保育園と統合されました。

脚注

本記事は、以下の資料を参考に作成しました。

「角川日本地名大辞典」編纂委員会・竹内理三編『角川日本地名大辞典 20 長野県』角川書店、1990年7月18日。
日外アソシエーツ編集『河川大事典』日外アソシエーツ、1991年2月21日。
『日本歴史地名大系 20 長野県の地名』平凡社、1979年11月25日。

外部リンク

上田市防災ハザードマップ 洪水・土砂災害マップ I-1 - 建物被害マップ F

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