野崎恒男

野崎 恒男

野崎 恒男（のざき つねお、1947年4月17日 - ）は、和歌山県和歌山市出身の元プロ野球選手（投手）です。

アマチュア球界での軌跡

地元の強豪である向陽高校に進学し、早くも1年次からチームの主戦投手として頭角を現しました。1963年には夏の甲子園を目指した県予選決勝で、坂口和司投手率いる南部高校と対戦。緊迫した投手戦の末、9回にサヨナラ負けを喫し、甲子園出場はなりませんでした。翌1964年の秋季近畿大会では、再び決勝の舞台へ。育英高校の剛腕・鈴木啓示投手と投げ合い、延長17回にも及ぶ激闘を繰り広げましたが、ここでもサヨナラ負けという悔しい結果となりました。しかし、これらの実績が評価され、3年次の1965年春の選抜高等学校野球大会への出場を果たします。選抜では1回戦で高鍋高校に勝利するものの、2回戦で小田義人、服部敏和らを擁する静岡高校に敗れ、大会を終えました。

高校卒業後、1966年に立正大学へ進学。当時、東都大学野球リーグの三部に低迷していたチームでしたが、野崎投手の活躍もあり、1968年秋季リーグからは二部リーグへの復帰を果たしました。

大学を卒業後、1970年には社会人野球の強豪、富士重工業に入社。翌1971年には、プロ入りした皆川康夫投手の後を継ぎ、チームのエースとなりました。同年には都市対抗野球大会に日立製作所の補強選手として出場。2試合に登板して6イニングを投げ、自責点2の成績を残すなど、ここでもその実力を証明しました。チームは準々決勝まで進出しています。

プロ入りと南海ホークス時代

立正大学4年時の1969年から、柚木進、伊藤四郎といった南海ホークスのスカウト陣から注目を集めていた野崎投手は、社会人野球での活躍を経て、1971年のドラフト会議で南海ホークスから1位指名を受け入団しました。即戦力としての期待は高く、エースナンバーの一つである杉浦忠氏がかつて背負った「21」番を与えられます。

プロ1年目の1972年から新人ながら一軍の先発ローテーションに加わります。同年8月19日に行われた阪急ブレーブス戦（阪急西宮球場）では、初回に福本豊選手に許した1安打のみという圧巻の投球で完投勝利を挙げ、プロ入り初勝利を飾りました。この年はジュニアオールスターゲームにも出場するなど、将来を期待される存在となります。最終的に1年目は4勝にとどまりましたが、当時の選手兼任監督であった野村克也氏は、その「球速があり、しかも制球力がいい」点を評価し、リリーフの切り札としての起用も構想していました。

プロ2年目となる1973年からは、監督の構想通り主に中継ぎ投手として起用されるようになります。しかし、先発陣に谷間ができた際には先発登板もこなし、チームを支えました。

移籍と現役引退

1976年、野崎投手はドン・ビュフォード選手との交換トレードで、太平洋クラブライオンズへ移籍します。ライオンズではクラウンライターライオンズへの球団名変更も経験し、在籍中の1978年シーズン途中には、中島浩一選手、高木孝治選手との交換トレードにより近鉄バファローズへ移籍。新たなチームでプレーを続けましたが、1979年シーズン限りで現役を引退しました。

プレースタイル

野崎投手は、オーバースローから投げ下ろす本格派右腕でした。マウンド上では落ち着いた様子で、ストレートや変化球をコーナーいっぱいに投げ分ける卓越した制球力が持ち味。スライダー、シュート、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を操りましたが、中でも特に得意としていたのはシュートでした。

特筆すべきエピソード

野崎投手のキャリアにおける特筆すべき出来事として、1974年9月29日に行われた日本ハムファイターズとのダブルヘッダー第2試合での登板が挙げられます。この試合で彼は2年ぶりとなる勝利を、自身3度目の完封で飾りました。さらにこの試合の9回表には、日本ハムの内野手である高橋博士選手が投手としてマウンドに上がり、日本プロ野球史上初の「1試合で全守備位置を守る」という記録を達成しました。そして、この高橋投手がプロとして初めて対戦した打者こそ、野崎投手でした。野崎投手はセンターフライに倒れましたが、結果としてこれが、高橋投手がプロで唯一対戦した打者となりました。また、この試合が南海ホークスのシーズン最終戦であり、翌1975年からパシフィック・リーグで指名打者制度が導入されたため、野崎投手にとってこれが現役生活最後の打席にもなりました。

プロ野球での記録

背番号の変遷

21 （1972年 - 1974年）
17 （1975年）
15 （1976年 - 1978年途中）
14 （1978年途中 - 1979年）

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