金沢市企業局とは？意味をやさしく解説

金沢市企業局について

金沢市企業局は、石川県金沢市に所在する地方公営企業です。地方公営企業法に基づき、上水道、工業用水道、そして下水道事業を展開しています。かつては都市ガスや発電事業も行っていましたが、2022年4月に民営化され、金沢エナジーへと事業が引き継がれました。

概要

金沢市企業局は、かつて電気事業法における「卸供給事業者」として水力発電所を所有していました。これは、都道府県以外の地方公共団体としては唯一の市営発電事業でした。2001年には下水道事業が統合され、5つの事業を運営する地方公営企業となりました。2020年に福井市企業局の都市ガス事業が民営化されたことで、北陸地方で唯一の公営都市ガス事業者となりましたが、2022年にガス・発電事業も民営化されました。

歴史

金沢市企業局の歴史は、1921年に民営の金沢電気瓦斯を買収し、金沢市電気局を設置したことに始まります。その後、水道局との統合、電気事業の北陸配電への移管、ガス・水道部門の再編などを経て、1967年に現在の金沢市企業局となりました。

主な出来事を以下にまとめます。

1921年: 金沢市電気局設置、電気・ガス事業開始
1932年: 金沢市電気水道局に改組
1942年: 電気事業が北陸配電へ移管、ガス・水道部門が金沢市瓦斯水道事業部に
1950年: 金沢市瓦斯水道局に改組
1952年: 金沢市ガス水道局に改組
1963年: 電気事業許可
1967年: 金沢市企業局に改組
1980年: 石川県営水道の供給開始
2000年: 都市ガスの熱量変更開始
2001年: 下水道部を統合、地方公営企業法全部適用
2018年: RPAを活用した業務支援プロジェクト開始
2022年: 発電・ガス事業を民営化

主な事業所と施設

現在、金沢市企業局は以下の主要な事業所と施設を運営しています。

企業局本庁舎：広岡三丁目3番30号
市役所企業局窓口：広坂一丁目1番1号
末浄水場（上水課）：末町1の1番地
犀川浄水場：末町15の60番地
金沢テクノパーク浄水場：北陽台3丁目31
水処理課・城北水質管理センター：浅野本町ホ131番地
西部水質管理センター：東力町ハ272番地
臨海水質管理センター：湊三丁目5番地8
公益財団法人金沢市水道サービス公社：笠舞本町二丁目29番20号

過去には以下の施設がありました。

南部維持管理センター：高尾台二丁目30番地
港エネルギーセンター：湊三丁目6番地
ガスぽーと：西念一丁目2番1号
発電管理センター：三口新町三丁目11番18号

現在の事業

水道事業

1930年に給水を開始し、1932年に末浄水場が完成。1980年からは手取川ダムからの石川県営水道の供給も受けています。末浄水場では緩速ろ過されたペットボトル入りの「金沢の水」も販売しています。2004年度の給水戸数は181,888戸でした。

工業用水道事業

1997年に金沢テクノパークへの給水を開始しました。

下水道事業

2001年 4月1日から企業局が担当しており、排水区域内人口は2004年度で394,792人です。金沢市西南部や近隣地域の下水は犀川左岸浄化センターで処理されています。

過去の事業

ガス事業

1908年に金沢電気瓦斯が開始したのが起源です。1921年に金沢市電気局が買収し、事業を開始しました。2007年度には供給戸数73,897戸、年間販売量40,293,278m3を記録していました。

発電事業

犀川と内川に5か所の水力発電所を有しており、2004年度の年間需給電力量は125,715.39MWhでした。戦前は手取川流域でも発電事業を行っていましたが、配電統制令により北陸配電に吸収されました。

ガス・発電事業の民営化

金沢市は、ガス・発電事業の民営化を検討するため、「金沢市ガス事業・発電事業あり方検討委員会」を設置しました。電力・ガス自由化による競争激化で供給量が減少している現状を踏まえ、委員会は株式会社への事業譲渡が適切であると答申しました。

民営化にあたっては、金沢市も株式会社に出資することで経営に関与できる余地を残すこととされました。このモデルは、長野県企業局の都市ガス事業民営化の際に長野県が長野都市ガスに出資した事例を参考にしています。

2020年、金沢市はプロポーザル方式で譲渡先を選定し、2022年度にガス・発電事業を民営化することを決定しました。

事業譲渡先は北陸電力、東邦ガスなどの企業コンソーシアムで、新会社設立後、2022年に事業譲渡が行われました。これにより、北陸3県における公営のガス事業者は消滅しました。

新会社への出資企業とその割合は以下の通りです。

北陸電力：48%
東邦ガス：43%
金沢市：3%
北國銀行・北國新聞社：各2%
小松ガス、松村物産

協力企業として、米沢電気工事、北菱電興が名を連ねています。

外部リンク

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