鎗田順吉

鎗田順吉：個性豊かな役柄で魅せた名優の生涯

鎗田順吉（やりたじゅんきち、1935年5月3日 - 1982年10月5日）は、日本の俳優、声優として活躍した人物です。東京都出身、千葉県に本籍を置いていました。成城大学卒業後、俳優座養成所9期生として研鑽を積み、1960年には東京演劇アンサンブル（当時・三期会）に入団しました。

彼のキャリアは舞台から始まりました。1964年、舞台『男は男だ』で主演を務め、文部省芸術祭奨励賞を受賞するなど、早くからその才能を開花させました。

鎗田順吉といえば、独特のやや高めの濁声が特徴的でした。その声を活かし、多くの作品で粗暴で巨漢な悪役を演じましたが、どこか憎めない、人間味あふれるキャラクターを多く演じ、幅広い役柄をこなす実力派俳優として知られていました。表記には「槍田順吉」と誤記されることもありましたが、正式には「鎗」の字を使用します。

テレビドラマにおいても、彼の活躍は目覚ましく、数多くの作品に出演しました。1967年には、特撮ドラマ『怪獣王子』で橋場一曹役をレギュラーとして出演し、主人公伊吹タケル少年を優しく見守る人情味あふれる好演で視聴者を魅了しました。その他、『忍者部隊月光』『マグマ大使』『フラワーアクション009ノ1』『遠山の金さん捕物帳』『荒野の素浪人』『木枯し紋次郎』『銭形平次』『勝海舟』『吉宗評判記 暴れん坊将軍』など、人気作品への出演が多数あります。

さらに、テレビアニメにも積極的に参加しました。『W3』『忍風カムイ外伝』『大草原の小さな家』『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』『科学忍者隊ガッチャマンII』『科学忍者隊ガッチャマンF』『ベルサイユのばら』『鉄腕アトム』『釣りキチ三平』『太陽の子エステバン』など、数多くの作品で個性的なキャラクターを演じ、視聴者から高い人気を得ました。劇場アニメでは、宮崎駿監督作品『ルパン三世 カリオストロの城|ルパン三世_カリオストロの城』でインターポール・ソ連代表の声優を務めるなど、幅広いジャンルで活躍しました。

また、吹き替えの分野でも才能を発揮しました。映画『大いなる眠り』『ミッドナイト・エクスプレス』やドラマ『刑事コロンボ 野望の果て』など、海外作品への吹き替えにも参加しています。さらに、人形劇『海底大戦争 スティングレイ』『ジョー90』にも出演するなど、その活動は多岐にわたりました。東京ディズニーランドのアトラクション『白雪姫と七人のこびと』では、ゾンビワニの声を担当したことも知られています。

1982年10月5日、47歳という若さで、心不全のため千葉県市原市で死去しました。惜しまれつつも、彼の残した数々の作品は、今なお多くの人々に愛され続けています。彼の独特の声質と存在感は、多くの視聴者の記憶に深く刻み込まれています。鎗田順吉は、日本の俳優・声優史に、その名を残す存在です。

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