長島 (岡山県)

長島（ながしま）は岡山県瀬戸内市に位置する島で、虫明湾の南東にあります。日生諸島に関連付けられることもありますが、北の鴻島や東の大多府島との間には旧郡境が存在し、長島は厳密には日生諸島には含まれないと考えられています。全島が山地に覆われ、特に南東部は海食崖が形成されており、自然の力を感じさせます。

歴史

長島には歴史的な伝説があります。中央部の船越は、源義経の伝説に登場します。屋島の戦いの後、義経の船がこの地に漂着し、彼の忠臣である武蔵坊弁慶が自らの力で船を陸に引き上げたとされています。このように、長島は歴史的な出来事の舞台でもありました。

大正時代には、島の大部分は山林に覆われていましたが、中部より西側には水田が点在し、20世帯ほどの住民が暮らしていました。特にボラ敷網が名物として知られていましたが、1960年代からその生産量は減少し、その後は鴻島との間でのカキの養殖が盛んになりました。

長島と本土との間には、最も狭い箇所で44メートルの「瀬溝の瀬戸」があり、この地理的特徴もまた興味深い要素です。西部は古生層の砂岩で構成され、中心部には花崗岩、東部には流紋岩が見られます。

1929年、長島には日本初の国立ハンセン病療養所建設が始まりました。この際、多くの村有地と民有地が政府に買収され、元の居住者は島を離れることとなりました。その後、1930年11月20日に国立療養所長島愛生園が開設され、ハンセン病患者の収容が1931年3月27日から始まりました。開設当初、この療養所の収容定員は400名を目指していましたが、1943年には2,000名以上が収容されるまでに至りました。

また、1938年には大阪府から公立療養所である外島保養院が長島に移転し、その後1941年に国に移管されました。こちらには最盛期で1,000名の患者が収容されたと言われています。これらの療養所は病棟や職員住宅、作業場、慰安・娯楽施設、さらに看護学校なども整備され、地域に大きな影響を与えていました。当初、患者の農業活動が行われていた農耕地は、後に彼らの農園へと変わっていきました。

この地域の水道は本土の吉井川から供給されています。長島は本州からわずか22メートルの距離にありながら、ハンセン病に対する偏見から長らく隔絶された状態にありました。しかし1988年には、全長185メートルの邑久長島大橋（通称：人間回復の橋）が開通し、本土と陸続きとなりました。この時に瀬溝も22メートルから44メートルに拡張されました。

1996年にらい予防法が廃止されたことにより、ハンセン病患者の入所は義務ではなくなりましたが、長期にわたる隔離が影響し、出所は難しい状況が続いています。2019年の時点で、長島には合計で226名のハンセン病回復者が療養所に入所しています。

交通アクセス

長島へのアクセスは、赤穂線の邑久駅から東備バスを利用するのが一般的で、所要時間は約40分です。

参考文献

『角川日本地名大辞典 33.岡山県』　角川書店、1986年

関連項目

• - 国立療養所長島愛生園
• - 国立療養所邑久光明園

長島は自然の美しさと共に、歴史的な背景を持つ島であり、特にハンセン病療養所の存在がその重要性を示しています。

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