長征7号

長征7号

長征7号（中国語: 长征七号、英語: Long March 7、略称: CZ-7またはLM-7）は、中華人民共和国が開発した液体燃料を推進剤とする中型ロケットです。中国航天工業公司によって開発が進められ、2016年6月に最初の打ち上げに成功しました。このロケットは、ヒドラジン燃料を使用する旧式の長征2号Fロケットを置き換える後継機として位置づけられており、将来的には中国の有人宇宙飛行計画における主要な打ち上げ手段となることが期待されています。

概要と開発経緯

長征7号は、10トンから20トンの打ち上げ重量をカバーできる中型ロケットとして開発されました。その設計は、有人宇宙船の打ち上げ実績を持つ長征2号Fロケットを基盤としており、開発段階では暫定的に「長征2号F（換）」(CZ-2FH) と呼ばれていました。開発当初から、月探査ミッションである嫦娥計画の一部で使用される可能性も検討されていました。

機体構成

長征7号の機体は、複数の段とブースターで構成されています。

第1段: K3-1と呼ばれるこの段には、長征5号用に開発された高性能エンジンであるYF-100が2基搭載されています。
固体ロケットブースター: 第1段の周囲には、K2-1と呼ばれるブースターが4基装着されます。それぞれのブースターにはYF-100エンジンが1基搭載されています。
第2段: この段には、ケロシンと液体酸素を推進剤とするYF-115エンジンが4基搭載されています。YF-115は、約15トン（147kN）の推力を発生させます。

さらに、静止トランスファー軌道や月探査機などのより遠方の軌道へペイロードを投入する場合に備え、オプションで第3段を追加することが可能です。この第3段には、液体酸素と液体水素を推進剤とするYF-75Dエンジンが2基搭載されます。YF-75Dは、現在長征3号シリーズの上段として使用されているYF-75エンジンの改良型とされています。

打ち上げ能力と役割

長征7号の打ち上げ能力は以下の通りです。

地球低軌道 (LEO) へのペイロード能力: 13.5トン
太陽同期軌道 (SSO) へのペイロード能力: 5.5トン
有人宇宙船を地球低軌道へ打ち上げる能力: 12.5トン

長征7号は、これまで中国の宇宙開発を支えてきた長征2号、長征3号、長征4号といった主力ロケットシリーズが担ってきた役割を引き継ぎ、今後中国の宇宙活動の中心的な存在となることが期待されています。

改良型 長征7号甲

長征7号の改良型である長征7号甲 (CZ-7A) も開発され、2020年に運用が開始されました。しかし、最初の打ち上げは失敗に終わりました。この失敗を受けて、中国の主要な宇宙開発計画全般に遅れが生じる可能性が指摘されました。その後、2021年には「長征7号改」という名称で打ち上げに成功し、改良型の信頼性向上に向けた取り組みが進められています。

長征7号シリーズは、その高いペイロード能力と柔軟な構成により、中国の将来的な宇宙ステーションへの物資輸送や、新たな有人宇宙飛行、さらには深宇宙探査など、多岐にわたるミッションを支える重要な基幹ロケットとしての役割を担っていくでしょう。

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