閻復

閻復（えんふく）

閻復（1236年 - 1312年）は、モンゴル帝国（大元ウルス）に仕えた漢人官僚です。字は子靖。真定府真定県（現在の河北省正定県）の出身で、東平四傑の一人に数えられています。

生涯

閻復の先祖は平陽府和川県の住人でしたが、祖父の閻衍が金朝に仕えて戦没し、父の閻忠は兵乱を避けて山東地方の博州高唐県に移住しました。閻復が生まれた時、部屋に奇妙な光が差し込んだという逸話が残っています。7歳から読書を始め、成長すると東平府学に入学。東平で著名な儒学者であった康曄に師事し、東平を支配していた厳実の要請で元好問が実施した試験に首席で合格しました。この時、徐琰・李謙・孟祺とともに「東平四傑」と称えられました。

1259年、東平行台の書記となり、御史掾に任じられました。1271年には王磐の推薦で翰林応奉となり、その後、会同館副使と接伴使を兼任しました。クビライ・カアンが上都へ移動する際に詩を献上したところ、その才能を高く評価され、側近に「なぜこのような有能な人材を重用しないのか」と語ったと伝えられています。1275年には翰林修撰、1277年には僉河北河南道提刑按察司事、1279年には翰林直学士、1282年には侍講学士、1283年には集賢侍講学士、同領会同館事を歴任しました。

1286年には翰林学士となり、クビライの側近として重用されるようになりました。1291年、サンガの失脚に伴い尚書省が廃止され中書省が復活すると、閻復も中書省の高官に就くよう要請されましたが辞退し、浙西道粛政廉訪使に任じられました。しかし、かつてサンガを称える碑文を翰林に作らせたことに関与したとして免官されました。

1294年、クビライが死去し、テムルがオルジェイトゥ・カアンとして即位すると、閻復は再び召し出され集賢学士の地位を与えられました。1295年には宣聖廟学の建設や、曲阜の孔子廟の復興に携わりました。1297年2月27日に彗星が観測された際には、多くの上奏を行い、その多くが採用され、翰林学士に再び任じられました。1298年には楮幣万貫を下賜され、1300年にはオルジェイトゥ・カアンより中書左丞相の人選について意見を求められ、ハルガスンを推薦したと伝えられています。同年中には翰林学士承旨に昇格しました。

1307年春、オルジェイトゥ・カアンが死去し、カイシャン（武宗クルク・カアン）が即位した際には、「名器を惜しみ、賞罰を明らかにし、人材を択ぶ」という三つの重要事項を伝えたとされています。その後、平章政事に任じられましたが、閻復はこれを辞退しました。クルク・カアンが急死し、弟のアユルバルワダ（仁宗ブヤント・カアン）が即位すると、閻復を召し出そうとしましたが、既に病に臥せっており、辞退しました。1312年3月に77歳で死去し、文康と諡されました。

参考文献

『元史』巻160 列伝47 閻復伝
『新元史』巻188 列伝85 閻復伝

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