阿見松ノ介

阿見松ノ介（あみまつのすけ）は、1967年 12月27日生まれ、福岡県大牟田市出身の日本の映画監督、脚本家、映画プロデューサーです。カルト映画の製作・販売を手がけるWHDジャパンに籍を置き、主にオリジナルビデオ形式で作品を発表しています。

人物と概要

国内のインデペンデント映画やホラー作品を中心に手がけており、その活動範囲は映画製作にとどまらず、DVDパッケージのデザインや作品解説、字幕監修、さらには新聞でのコラム連載や書籍・雑誌への寄稿など、多岐にわたります。

幼少期から映画に深く親しむ機会に恵まれました。これは、母方の伯父に『たそがれ清兵衛』などで日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞した照明技師の中岡源権がいた影響が大きいとされています。クラシック映画から任侠映画まで幅広い知識を培い、かつては延田グループのビデオ店舗開発部に所属していました。この時期には、5万本以上のビデオジャケットとタイトルを暗記していたという逸話が、当時の従業員から証言されています。

2000年に延田グループを退社後、2001年初頭には東京でカメラマン事務所に所属。WHDジャパンには2005年の立ち上げ時に一度参加しますが、すぐに退社。2008年に再び入社し、監督第一作となる『サイコ・イコール』の制作に着手しました。

特筆すべき活動

WHDジャパンでは、幻のカルト映画とされるテッド・V・マイクルズ監督の『ミミズバーガー』や『人間ミンチ』、アルゼンチンのアドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督作品などを国内に紹介し、ホラー部門でミドルヒットを飛ばしています。また、初期の石原貴洋監督作品など、新人クリエイターの作品を世に送り出すことにも関わりました。

2011年からは、大阪・十三のシアターセブンにて開催されるイベント『グラインドカフェ』で映画評論家の浅尾典彦と共にホストを務めています。このイベントでは、毎月第三木曜日に海外のカルト映画と自身の短編新作を一本ずつ上映。インデペンデント映画において、劇場での月単位での連続新作公開は極めて稀な試みであり、その活動は多くの映画ファンから注目を集めています。

2012年には、監督業をしばらく休止し、プロデューサーとして活動することを表明。2013年には、これまでのホラーやSF路線から一転し、昭和の純愛をテーマにした青春映画『恋の映画を作ろう』をプロデュースし、新たなファン層を獲得しました。

また、NPO法人との連携によるストップモーションアニメ制作など、表現の幅を広げています。

人物像とエピソード

残酷描写を含む作品が多い一方で、本人は平和主義者であり、好きな映画として『ピンク・パンサー』シリーズや『Mr.BOO!』シリーズを挙げています。

過去には学校を早期に辞め、日本国内を放浪しホームレス状態を経験した時期があることも明かしています。

初期作品は低予算ゆえに評価が分かれることもありましたが、近年は映画祭でのノミネートや海外からのオファーが増えるなど、作品の質が向上していると評されています。

テッド・V・マイクルズ監督との親交は特に知られており、落ち込んでいた際に彼のメールに勇気づけられた経験や、『ミミズバーガー』などの国内発売を実現するため、自身の監督作『心霊音THE MOVIE』の予算を大幅に削減して契約金に充てたエピソードなどが語られています。しかし、その結果として『心霊音THE MOVIE』自体の出来は不本好転だったと述懐しています。

根強いゾンビ映画好きであり、伊東美和の著書『ゾンビ映画大事典』を愛読書としています。また、ゲーム&ウオッチの熱心な収集家としても知られ、一部の電子ゲーム愛好家からは「神」と称される存在でした。

俳優のみぶ真也を自身の作品に数多く起用しており、「やっぱり、みぶ」と呼ばれるほど定番の存在となっています。また、『怪異伝承鬼殻村』は俳優・池田駿介の遺作となりました。往年の女優である片山由美子や日下裕江をキャスティングした際の、エピソードも知られています。

2014年には、ポッドキャスト上で大木ミノルと同一人物であるという説が流布しましたが、これは事実無根のジョークであり、本人が否定しています。

主な作品リスト（監督作・プロデュース作など）

監督作品
『サイコ・イコール』（2008年）
『怪異伝承鬼殻村』（2009年）
『心霊音THE MOVIE』（2010年）
『サンズ SUN OF THE DEAD』（2011年）
『ストレンジ・ワン・デイ世にも奇妙な1日たち』（2012年）
『最寄りの怪談』（2013年）
『時空脱獄NINJA ジライヤ』（2015年 - 制作・総指揮）
短編映画
『The Iron Low』（2011年）
『霊能力』（ストレンジ・ワン・デイ・シリーズ）（2011年）
『処刑人フジムラ』（ストレンジ・ワン・デイ・シリーズ）（2012年）
『マット奥井のヒーローショー』（ストレンジ・ワン・デイ・シリーズ）（2012年）
『ライトノベル作家の殺し方』（ストレンジ・ワン・デイ・シリーズ）（2012年）
『死神おじさん』（最寄りの怪談・シリーズ）（2012年）
『恐怖映像』（最寄りの怪談・シリーズ）（2012年）
『蠅女』（最寄りの怪談・シリーズ）（2012年）
『夏の桜』（最寄りの怪談・シリーズ）（2012年）
プロデューサー作品
『大阪最後の日』（2013年）
『恋の映画を作ろう』（2014年）
『時空脱獄NINJA』（2014年）
* 『ロボネッジときーす君第一話』（2014年）

これらの活動を通じ、阿見松ノ介は日本のインデペンデント映画、特にカルト・ホラーの分野で独自の地位を築いています。

（文字数調整のため、一部記述を省略または簡潔にしています）

注記: 2010年公開の『心霊音THE MOVIE』では、俳優の松平哲郎が阿見松ノ介役を演じており、混同されるケースがあります。また、家族については多く語られていませんが、かつてアパートで猫や女性と暮らしていたことを示唆する記述がブログにありました（猫は2008年に死去）。

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