阿野実直

阿野実直（あの さねなお）は、鎌倉時代前期に活躍した公家であり、その生涯は官位の昇進と地方官としての活動に彩られています。

生い立ちと初期の官歴

実直は、公家の家柄である阿野家に生まれました。父は藤原成親の子である公佐。母は源頼朝の異母弟である阿野全成と北条時政の娘・阿波局の間に生まれた女性であり、彼は源氏の血も引いていました。承久の乱後の承久3年（1221年）12月、後白河院の女御であった三条琮子の推挙により、わずか13歳で叙爵され、侍従に任じられます。その後、嘉禄2年（1226年）には右近衛権少将に任官。

順調な昇進と地方官としての活躍

実直は、寛喜2年（1230年）に従四位下に進み、嘉禎3年（1237年）には右近衛中将に昇進。また、尾張介、出羽介、備中介、常陸介といった地方官も歴任し、中央での官位と地方での実務を兼ねる多忙な日々を送りました。

公卿への昇進と晩年

建長元年（1249年）には従三位となり、ついに公卿の仲間入りを果たします。建長3年（1251年）には侍従に再任されましたが、同年9月10日に薨去。比較的若い年齢での死でした。

子孫

実直には多くの子がおり、そのうち長男の公寛も公卿に昇りました。しかし、堂上家として家系を伝えたのは、次男の公仲の系統です。

年譜

承久3年（1221年）12月22日：従五位下
承久3年（1221年）12月26日：侍従
貞応3年（1224年）1月23日：従五位上
嘉禄2年（1226年）12月16日：右近衛権少将
嘉禄3年（1227年）1月26日：兼尾張介
安貞2年（1228年）4月13日：正五位下
寛喜2年（1230年）1月5日：従四位下
貞永元年（1232年）1月30日：兼出羽介
貞永元年（1232年）8月10日：復任
文暦2年（1235年）1月23日：従四位上
嘉禎3年（1237年）1月29日：正四位下
嘉禎3年（1237年）4月25日：右近衛中将
仁治2年（1241年）2月1日：兼備中権介
宝治元年（1247年）1月23日：兼常陸権介
建長元年（1249年）11月10日：従三位
建長3年（1251年）1月22日：侍従
* 建長3年（1251年）9月10日：薨去

阿野実直は、鎌倉時代前期の公家社会において、着実に官位を上げ、地方官としても活躍した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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