陣屋町駅

陣屋町駅（じんやまちえき）は、北海道室蘭市陣屋町2丁目にある、日本貨物鉄道（JR貨物）が運営する室蘭本線の貨物駅です。駅には▲130311の事務管理コードが付与されています。

この記事では、当駅から分岐するおよそ1.5キロメートルの側線の終端に位置し、正式には陣屋町駅の構内施設として扱われる「陣屋町臨港駅（じんやまちりんこうえき）」についても併せて解説します。

歴史

陣屋町駅の歴史は、1944年 10月1日に国有鉄道の陣屋町信号場として始まったことに遡ります。その後、1950年 12月1日には旅客の取扱いを開始し、1953年 7月15日には一般駅へと昇格しました。旅客・貨物の両方を扱う駅として営業を続けていましたが、1970年に大きな転機を迎えます。

当時の室蘭市は、陣屋工業用地の崎守埠頭造成を含む大規模な港湾整備計画を進めており、これに伴う鉄道輸送体系の見直しが必要となりました。市の要請により、当駅の側線として「室蘭外港臨港線（臨港線）」が新設されることになりますが、この臨港線の設置には既存のプラットホームが支障となりました。さらに、港湾整備による海水浴場の廃止や、バス路線の増便に伴う利用客の減少なども重なり、1970年 8月1日をもって旅客営業を終了し、貨物駅へと転換されました。

貨物駅となってからは、主に日本製紙向けの木材チップ輸送などが主体となりました。しかし、この木材チップ輸送も時代の変化と共にトラック輸送へと切り替えられ、2008年 3月12日をもって終了。それに伴い、2008年 3月15日のダイヤ改正では、定期の貨物列車設定が廃止されました。現在、陣屋町駅は定期的な貨物輸送は行っていませんが、臨時の車扱貨物や、後述する鉄道車両の搬出拠点として利用されています。

駅構造

陣屋町駅は地上駅であり、室蘭本線の本線から臨港線が分岐する駅本体部分と、その側線約1.5キロメートル先に位置する通称「陣屋町臨港駅」部分から構成されています。側線の一部は、かつての室蘭本線の旧線跡を転用したものです。

駅本体部分には駅舎があり、上下本線を跨ぐ片渡り線や、本線と側線の分岐点があります。かつて使用されていた貨物線0番線は現在使用停止されており、現在は室蘭本線の上下本線である1番線と2番線のみが供用されています。

陣屋町臨港駅

陣屋町臨港駅（じんやまちりんこうえき）は、室蘭市崎守町に位置するJR貨物の施設で、前述の通り陣屋町駅から延びる1.5キロメートルの側線の終端部にあります。独立した駅舎や名称も存在しますが、法的には陣屋町駅の構内として扱われます。

駅西側には複数の留置線が設けられています。また、第三セクターである室蘭開発株式会社が室蘭市から運営を委託されている崎守埠頭公共臨港線の一部がここから分岐しており、「山手線」（835メートル）と「海手線」（1,565メートル）の2本の専用線があります。

山手線には、かつて木材チップを無蓋車に積み込むための設備があり、主に室蘭港で陸揚げされた日本製紙白老工場向けの木材チップの荷役が行われていました。末期には萩野駅との間で専用貨物列車が1日1往復運行され、トラ90000形や改造されたワム480000形が使用されていましたが、2008年3月以降は輸送がトラックへ転換されました。

海手線には、国際貿易コンテナ定期航路用の岸壁に隣接するコンテナホームが設置されていますが、こちらは試験的なもので使用されていません。その先にも臨港道路を越えて線路が続いていますが、こちらも現在では使われていません。

かつては、現在のENEOS室蘭事業所の敷地の一部（陣屋町臨港駅の東側）に市営の陣屋町工業団地があり、鉱物ばら貨物用の岸壁や水面貯木場がありました。ここからも陣屋町臨港駅から公共臨港線が分岐していましたが、日本石油精製（当時）の拡張計画に伴い敷地が売却され、これらの施設や軌道は撤去されています。

利用状況

旅客営業を行っていた時代の利用状況としては、1960年頃がピークで一日あたり約350人の利用者があったと記録されています。しかし、旅客営業廃止直前の1969年には、その数は一日あたり96人にまで減少していました。

貨物輸送については、定期貨物列車が運行されていた頃は活発でしたが、2005年度の実績では発送貨物が101,514トン、到着貨物は0トンでした。定期貨物列車が廃止された2008年以降、定期的な貨物輸送は行われていません。

鉄道車両の搬出拠点としての活用

2008年に定期貨物列車が廃止されて以降、陣屋町駅は主にJR北海道で役目を終えた鉄道車両の搬出拠点として活用されることが増えています。

例えば、2007年には北海道ちほく高原鉄道の気動車が、2012年には廃用となったタンク車やレール輸送車が、いずれもミャンマーへの譲渡のため当駅構内から船積みされました。特に2012年のケースでは、専用線の活用が4年ぶりとなりました。

近年でも、2015年には「寝台特急北斗星」で使われた24系客車や、札幌圏で活躍した711系電車が解体のため当駅へ回送され、構内で解体作業が行われました。また、北斗星牽引機だったDD51形機関車やホッパー車、急行「はまなす」に使用された14系客車なども、譲渡や解体のため当駅へ運び込まれています。特に、2016年にはDD51形機関車8両が8重連という珍しい編成で入線し、ミャンマーへ輸出されるなど、車両の「終着駅」あるいは「旅立ちの駅」としての役割を担っています。

これらの車両搬出作業には、JR貨物の機関車や、構内の入換作業を室蘭開発株式会社のスイッチャーが担当しています。

駅周辺

国道37号
道央自動車道室蘭インターチェンジ
白鳥大橋
ENEOS室蘭事業所
室蘭港崎守埠頭
南部藩モロラン陣屋跡（国指定史跡）
室蘭市民俗資料館
道南バス「陣屋」停留所

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）

■室蘭本線

崎守駅 - （貨）陣屋町駅 - 本輪西駅

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