陸凱

陸凱（りく がい）

陸凱（りく がい、生年不詳 - 建衡元年（269年））は、中国三国時代の呉の武将・政治家。字は敬風。陸遜の一族に連なるも、詳細な系譜は不明。

生涯

孫権の時代から呉に仕え、地方官や太守を歴任。建武都尉として軍権を委ねられると、学問にも精通し、『太玄経』を読むなど占いにも通じていたという。赤烏年間に儋耳太守となり、反乱鎮圧の功績により建武校尉に昇進。王昶が南郡に侵攻した際には、朱績の救援に駆けつけた。

五鳳2年（255年）、零陵の山越の反乱を鎮圧し、巴丘督・偏将軍となる。その後、武昌右部督に転任し、寿春の戦いにも参加。帰還後には盪魏将軍や綏遠将軍に任命された。

孫休の時代には征北将軍となり、仮節を与えられ豫州牧に任命された。

孫晧が即位すると、鎮西大将軍に昇進、巴丘督・荊州牧に任命され、嘉興侯に封じられた。魏が滅亡し晋が興ると、呉は弱体化し晋と和睦を結ぼうとした。陸凱は晋への使者から帰還した丁忠が弋陽の地を奪取することを勧めた際、劉纂が賛成するも、陸凱は反対し、孫晧に諫言した。

宝鼎元年（266年）、左丞相に就任。孫晧の廃立を計画するも、護衛の反対により断念。孫晧は他人から直視されるのを嫌ったが、陸凱には許したという。

孫晧が武昌に遷都し暴政を敷くと、呉の政治と経済は混乱。陸凱は度々諫言し、皇帝側近の何定を面と向かって罵倒するなど、その剛直な性格を示した。

建衡元年（269年）11月、72歳で病没。臨終の際、孫晧に重臣を重用し、小人を遠ざけるよう遺言。また、孫晧の政治を批判する上奏文を託したとも伝えられているが、その信憑性には疑義も呈されている。

陸凱の死後、孫晧は彼の一族を交州へ強制移住させ、報復したという。

陳寿は、陸凱を潘濬と共に「大丈夫として最高の仕事を成し遂げた」と評し、陸機の『弁亡論』でも高く評価されている。

人物

陸凱は、その剛直な性格と国を憂う姿勢から、呉の臣下の中でも特筆される存在でした。孫晧の暴政を諫め、有能な人材を登用するよう訴え続けた彼の遺言は、呉の将来を案じる真摯な思いの表れと言えるでしょう。

参考文献

* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』、井波律子・今鷹真・小南一郎 訳・解説（ちくま学芸文庫全8巻、1992 - 93年）、※呉書は6・7・8巻、小南一郎訳。

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